ラブホに入っても「その気はなかった」。それでも“性的同意は難しくない”女医が断言するワケ
自己主張を明確にするのが世界基準
まず、①の「ノーと言える環境が整っている」とは、自分がされて「イヤだ」と感じた行為に対して、どんなときでも拒否できる状態にあることを意味します。②の対等性とも関連することですが、身の危険などを感じてノーと言えない状況で発せられた「イエス」は、同意とみなされません。 ②の「社会的地位や力関係に左右されない対等な関係」とは、二人の間に上下関係があったり、利害関係があったりした場合、そのことを意識しながら行われた性的な行為には、同意は成立しないということです。たとえば、「ここで断ったら、仕事で嫌がらせされるかも……」といった不安を相手が抱えた状態で性的な行為に及ぶことはNGとなります。ですから、特に自分が上の立場にいる場合は、十分な配慮が必要となります。 ③の「いつでも『やめて』と言えること」は、①と同じように思えますが、〝いつでも〞がポイントです。たとえば「キスしたけどセックスはしたくない」ときもあるし、「昨日はセックスしたけれど、今日はイヤ」というときもあります。つまり、たとえ長年連れ添ったパートナーであっても、性的な行為を行う場合は、その都度、気持ちを確認することが求められます。 ④の「明確で積極的な同意」は、キスやセックスなどをお互いが積極的に「したい」と思っているということです。「イヤよイヤよも好きのうち」の「イヤよ」は「好き」にはカウントされません。乗り気でない相手に、「そのうち盛り上がってくるはず」と勝手な思い込みで性的な行為に及ぶことはNGです。 ――なんだかセックスというよりも契約みたいですね。 富永:そうした感想も正直で良いと思います。欧米のように自己主張をはっきりする文化とは異なり、イエスとノーを曖昧にした表現に慣れてきた日本人からすると、たしかに少し面食らうかもしれません。しかし、これが現在の「グローバルスタンダード」です。国際化が進むなかで、これからは海外の方との恋愛やセックスの機会も増えていくでしょうから、なおさら〝世界基準〞を知っておくべきでしょう。