蜜月の中国とベネズエラ「独裁国家との付き合い方」ウォッチャーが解説
『中国とベネズエラは信頼し合う、良き友人であり、共に発展する良きパートナーだ』 『中国はこれまで同様、国家の主権、民族の尊厳、社会の安定の維持に向けたベネズエラの努力を断固として支持する。外国からの干渉に反対するベネズエラの正義を断固として支持していく』 ベネズエラは南米大陸の一番北側にある。地理的に近いアメリカからは、経済制裁を受けている。そうなると、大国と言われる国の中では、中国を頼りにする。マドゥロ氏は大統領として過去に5回も中国を訪れている。その5回のうち、実に3回が公式訪問だ。先ほど2013年に暫定大統領になったと紹介したが、真っ先に訪問した国の一つが、太平洋をはさんだ遠い中国だった。 アメリカや、欧州主要国だけではない。ベネズエラと同じ南米でもアルゼンチン、チリ、ペルーなど7か国も選挙結果を認めていない。経済が厳しい状況にあるベネズエラにとって、中国は「命綱」といえる。「近くの親戚より、遠くの他人」ということかもしれない。 ■ベネズエラは中国の出先機関のような存在 中国からすれば、アメリカの近くに、そのアメリカと対峙する友好国が存在することは、地政学的にも意義がある。もう一つ、例を挙げる。8月末、中国外務省の記者会見でこんなやりとりがあった。中国国営メディアの記者が、「ラテンアメリカの国々からアメリカに対して、不満の声が上がっているが」と外務省スポークスマンに質問した。 このコーナーで何度か紹介してきた通り、中国の外務省は国営メディアに質問内容を指示し、質疑応答の形をとりながら、自分たちの主張をする。質問した記者は、対米批判をするメキシコ、キューバなど国名を挙げたあと、「ベネズエラではアメリカからの内政干渉に非難の声が出ている」と、ベネズエラの国の名前を出した。それを受け、スポークスマンは、用意した答えを読み上げた。 『アメリカは、ラテンアメリカの国々の懸念や正義の声に耳を貸さず、我が道を行くべきではない。アメリカに対して、時代遅れのモンロー主義と介入主義をいち早く放棄するよう、ご忠告申し上げる』