キヤノン・アルバックが狙う…半導体装置で生まれた新たな成長領域
チップレット集積研究 歩留まり向上へ多分野連携
アルバックは東京工業大学が中心となって進める「チップレット集積プラットフォーム・コンソーシアム」に参加し、チップレット技術の研究開発を進める。同コンソーシアムはチップレット同士を直接結び、一つの構造物にする「メタIC」の研究開発を進める。アルバックは強みを持つエッチング装置の技術などを微細なビアの形成に生かす。 現在はビア形成にリソグラフィーを使うが、今後配線の幅と隣り合う配線同士の間隔「ラインアンドスペース」が狭まれば、リソグラフィーだけで対応できなくなる。アルバックの先進技術研究所半導体応用技術研究部第2研究室の森川泰宏室長は「ラインアンドスペースが3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下になるとリソグラフィーだけで対応することが難しくなる」と話す。そのため前工程で使われるような微細加工技術を応用していく必要がある。 アルバックはコンソーシアムの参加企業とともに、この研究開発を進めており、誘電損失の少ないポリマー材料にエッチング加工を施して微細なビアを形成し、電極を作った。森川室長は「形としてはきれいにできた」とし、電気特性などを調べているという。 同社が持つプラズマ処理装置も先進後工程では有効だ。主な用途はハイブリッドボンディングの前処理でウエハーを活性化させるのに使う。将来的にはチップと配線層はハイブリッドボンディングで接合することを想定し、技術開発を続ける。 また、アルバックはレゾナックが主導して米シリコンバレーに設立した「US―JOINT」にも参加。先進後工程などの技術を必要とする米国の半導体メーカーからの意見を参考に概念実証(PoC)を行う計画だ。電子機器事業部事業企画部の久保純也主事は「顧客に近い場所でPoCを実施し、今後の装置開発に生かしていきたい」と展望を話す。 先進後工程の研究開発は始まったばかりで、技術の方向性は決まっていない。森川室長は「この分野は歩留まりが全て。この課題に貢献するには材料など、さまざまなプレーヤーが集まってあるべき姿を見つけていかないといけない」とコンソーシアムの意義を語る。半導体大手がこぞって先進後工程の研究開発に乗り出している中、半導体製造装置メーカーも研究開発の手は緩めない。