「うそみたい」被爆者喜び、涙 平和公園で祈り、苦難思う
その瞬間、広島市の平和記念公園では十数人が集まって静かに手を合わせていた。11日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)にノーベル平和賞授与が決まった。「本当にうそみたい」「核兵器をなくしてください」。発表の中継を見守っていた被爆者らは涙を流す一方で、先人の苦難に思いをはせ、核兵器のない世界を願った。 【写真】文化人からも平和賞歓迎の声 沢地久枝さんや加藤登紀子さん
「ニホン ヒダンキョウ」。午後6時過ぎ、広島市役所内で発表の様子をスマートフォン画面で見ていた広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長(82)は椅子から浮き上がるように驚いた。「私たちが生きているうちに核兵器をなくしてください」と涙を浮かべたが、これまでの活動について「訴えても世界に届かないのが歯がゆい思いの毎日だ」と話し、核廃絶が実現していない現状に怒りをにじませた。 長崎の被爆者川野浩一さん(84)は、長崎市内でユーチューブの映像が映し出されたスクリーンを見守った。「ヒバクシャ」と何度も読み上げられるのを、食い入るように見つめ、「核兵器に対する禁止運動が評価された。ウクライナや(パレスチナ自治区)ガザで悲惨な歴史を繰り返されていることに対する一つの警告だ」と強調した。