東京での会期がスタート! 大人気の『ポケモン×工芸展』の見どころとは?
国立工芸館(石川県金沢市)を皮切りに、アメリカや日本各地を巡回中の『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』。東京会場として麻布台ヒルズ ギャラリーにて開催されている。初公開となる新作も加わって、よりパワーアップした展覧会の見どころとは? 【写真】『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』が、東京会場として麻布台ヒルズ ギャラリーにて開催中
現代日本の工芸を代表する20名のアーティストがポケモンとコラボ!
まずは『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』の概要について紹介したい。同展は人間国宝から若い世代まで、現代日本の工芸を代表する20名のアーティストがポケモンをテーマに、さまざまな技法や素材による工芸の作品を公開したもの。陶芸、漆芸、木工、金工、染織などにて、ポケモンのすがたやしぐさ、気配を呼び起こした作品や、進化や交換、わざといったゲームの記憶をたどる作品、また器や着物などにポケモンを取り入れた作品を展示している。今まで見たことのないポケモンや、かつて目にしたことのない工芸作品が並んだ、ポケモンと工芸が異色のコラボを果たした展覧会といえる。
巧みなわざで、ポケモンのすがたかたちをリアルに表現
思わず「ポケモンが目の前に現れた!」と驚いてしまうのが、ポケモンのフォルムはもちろん、皮膚や毛並み、気配や出現の瞬間までを見事に捉えた作品だ。金属彫刻を手がけ、主に銅を扱う吉田泰一郎は、イーブイと進化形の3匹を造形化。純銅のイーブイと青銅のシャワーズ、金銀メッキを施したサンダースなどをはじめ、東京会場での新作として全長約2メートルにも及ぶ迫力あるミュウツーを展示している。一方で陶芸家の今井完眞は、フシギバナやコイキングなどをリアルに表現。とりわけフシギバナの肉感的な口元や、凹凸のある皮膚の細密な作り込みに目を奪われる。いずれも重厚な工芸作品でありながら、生気がみなぎり、今にも動き出しそうなほど迫力満点だ。
須藤玲子のインスタレーションで出会う、かわいいピカチュウたち
ポケモンの物語にアーティストが向き合い、工芸のわざを駆使して、イマジネーションに満ちた作品が生み出されているのも魅力のひとつ。テキスタイルデザイナーの須藤玲子は、「ポケモンずかん」で目に留まったポケモンを観察すると、「すごく可愛い」としてピカチュウをモチーフとして選び出し、無数のピカチュウをテキスタイルにて表現した《ピカチュウの森》を制作。実際に森の中へと入って、シャワーのように連なったピカチュウを楽しむことができる。このほか、ポケモンの技「かげうち」から着想を得た田中信行の黒い漆の立体作品や、「つららおとし」をガラスで表現した新實広記のインスタレーションも、アーティスト独自の感性にて新たなポケモンの世界を作り上げている。