アートライターが推す、今年行くべき芸術祭 3選
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ/新潟・十日町、津南
2000年に始まった、芸術祭の中でも先輩格にあたる存在。清津峡の《Tunnel of Light》、クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンの《最後の教室》、レアンドロ・エルリッヒ《Palimpsest: 空の池》など、これまでの7回の芸術祭で制作された約200点の恒久作品があり、雪深い冬も含めて通年でアートが楽しめる。「越後妻有里山現代美術館[MonET]」、「まつだい『農舞台』フィールドミュージアム」など常設の展示施設のほか、空き家や廃校を活用したアートスペースなど地域の歴史を感じさせる場も多い。
今年の新作にはアントニー・ゴームリーや久保寛子らのほか、昨年逝去したイリヤ・カバコフが生前に計画していたもの、マ・ヤンソン作品も。6つにわかれたエリアは東京23区より大きな760平方キロメートルという広大なもの。作品数が多く、味わい深い地域の温泉旅館のほかにもジェームズ・タレル《光の館》など“泊まれるアート”があるので、できれば1泊か2泊するのがお薦めだ。 『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024』 会期/2024年7月13日(土)~11月10日(日)
北アルプス国際芸術祭/長野・大町
標高3000メートル級の北アルプスを望む長野県大町市で3年に一度、開かれる芸術祭。今年の芸術祭は2017年、2021年に続いて3回目となる。この芸術祭のコンセプトは「水・木・土・空」。エリアも水の恵みを感じられるダムエリアや源流エリア、仁科三湖エリア、豊かな里山が広がる東山エリア、水路のせせらぎが聞こえる市街地エリアと名づけられている。
参加作家は大町の大自然に幾何学構造の彫刻を設置するダナ・アワルタニ、2017年の芸術祭で空き家を薄い布で覆ったケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット、世界的な折り紙作家の布施知子、七倉ダムに大規模な作品を展開する磯辺行久、トンネル内に地元の土や竹による彫刻作品を展示するルデル・モーら30組超。また海に面していない大町では北前船の交易による食材がもたらされた日本海沿岸や堺とは違う、独特の食文化が生まれた。公式カフェ&レストラン「YAMANBA」ではその地元の食材を使った郷土料理が楽しめ、信濃の歴史をさまざまな角度から味わえる。 『北アルプス国際芸術祭2024』 会期/2024年9月13日(金)~11月4日(月)