アートライターが推す、今年行くべき芸術祭 3選
旅の目的地として注目度を集めたり、地域の特色を活かした展示がされていたりと、年々勢いが増す各地の芸術祭。アート好きなら必ずチェックしたい芸術祭をアートライターの青野さんに聞いた。
横浜トリエンナーレ/神奈川・横浜
街中にひっそりと生える野草のようにたくましく。第8回横浜トリエンナーレのテーマ「野草:いま、ここで生きてる」にはそんな思いがこめられている。メイン会場の1つである、3年間の改修閉館を経てリニューアルオープンした「横浜美術館」。
大屋根から光がたっぷり入るようになったグランドギャラリーには古代の怪獣のようにも未来のサイボーグのようにも見えるサンドラ・ムジンガの作品や、ロシア侵攻で難民となったウクライナの人々が登場するオープングループの作品が並ぶ。3階展示室には勅使河原蒼風、ケーテ・コルヴィッツ、坂本龍一らの作品が。 「横浜美術館」以外にもギリシャ神殿のようなファサードが印象的な「旧第一銀行横浜支店」、レンガの壁が美しい「BankART KAIKO」などが会場になっている。作品には戦争や気候変動など、社会的な問題を扱ったものが多い。困難な状況をどう乗り越えていくのか、アートの側面から考えていこうとする芸術祭だ。 『第8回横浜トリエンナーレ』 会期/2024年3月15日(金)~6月9日(日)
百年後芸術祭/千葉・内房総5市
千葉県誕生150周年記念事業の一環として開かれる芸術祭。百年後を考える、いっしょに百年後を創っていく共創の場としての芸術祭だ。綜合プロデューサーを音楽家の小林武史、アートディレクターを北川フラムが務める。開催地は市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市と、市川市、佐倉市、栄町、山武市、白子町の6地域。参加作家は淺井裕介、アレクサンドル・ポノマリョフ、保良雄ら77組。「市原湖畔美術館」などのほか商店街や元学校・保育園だった建物など会場も多彩だ。
会場のひとつ、「農と食、アートと自然」をテーマにする「クルックフィールズ」では、島袋道浩やオラファー・エリアソン(4月18日から公開)の新作も披露される。千葉県誕生150周年記念事業としてはほかにアーティストの保良雄がディレクターを務める「山武市百年後芸術祭」、小林武史らがコンサートを行う「栄町百年後芸術祭」も開催。千葉の広いエリアでアートと音楽が出合う。 『千葉県誕生150周年記念事業 百年後芸術祭 ~環境と欲望~ 内房総アートフェス』 会期/2024年3月23日(土)~5月26日(日)