【家族のかたち】「母の再婚を心の底から喜べた」父の突然死で娘が抱えることになったものとは~その2~
娘が結婚した1年後に、母親は再婚した
実家を手放そうとしていた時期には、和香子さんには結婚を前提として付き合っている男性がいたが、母親と2人で暮らす家を探そうとしていた。しかし、母親は1人暮らしをすると和香子さんに伝えてきたという。 「実家を手放すことで得るお金があるから、お母さんは1人で大丈夫だと言われました。母は自分のためという言い方でしたが、きっと私を自由にさせてあげようという思いが隠されているんだろうなって私は深読みしていたんです。だから、母親の好意だと思って、深く追求することなく受け入れました。お互いの勤め先が近いこともあり、新居は1駅ほどの距離のところだったので、何の心配もしていませんでした。姉家族も母のことを気にかけてくれていましたし」 お互い別々に暮らすようになり、1年後に和香子さんは結婚。そして驚いたことにその1年後に母親も再婚した。 「気づいたら母親の住まいに男性が頻繁に来るようになっていて、姉がその男性と鉢合わせをして発覚しました。深く聞かなかったのでしらなかったのですが、母が最初から遊んでいた人たちの中にその男性はずっといたそうです」 和香子さんも姉も母親の再婚には反対しなかった。その理由には経済的な理由があった。 「母はアルバイトのままで貯金を切り崩す生活をしていたから、このままであればいずれ私や姉家族をまた頼ってくる可能性がありました。私も家族を持って、前ほどちゃんと母親を支えてあげられる自信もなかったので、新しい男性の存在は、正直なところ少しホッとしました。もちろん結婚を認めたのはお金が理由だけではなく、その男性がちゃんとした人で、母親のことを大切にしてくれそうだと感じたからです」 母親は今の夫と現在も年に数回のペースで旅行を一緒に楽しんでいるとのこと。和香子さんには夫と子どもという新しく築いた家族があり、姉にも家族があり、母にも新しい家族ができた。母の家族との交流はあまりないが、その関係性が無理なく心地よいと和香子さんはいう。親子という関係ではあるが、子どもが成人した後は別の世帯を持った大人同士という立場で関わっていくほうが、大人の親子関係はうまくいくのだろう。 取材・文/ふじのあやこ 情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
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