フレキシブルウイングはリヤにも? マクラーレンの”ミニDRS”とも言える新たな手法が明るみに。ピアストリ2勝目を後押しした?
■ミニDRSは効果的
この写真をご覧いただくとわかるように、高速走行中のマクラーレンのリヤウイングのフラップ前端が、少し上に持ち上がっているように見える(赤い矢印の部分)。これは今回のアゼルバイジャンGPに新たに持ち込まれたものではないはずで、FIAとしてはレギュレーションの範囲内にあることを確認できているものと見られる。 この効果は、フラップとメインプレーンの間に隙間を開けることで、DRSを開いた時と似た効果が得られている可能性が高い。もちろん、開く大きさが違うので、同じ効果というわけではない。ただ、リヤウイング全体に負荷がかかると、フラップが後方に倒れるため、1周にわたってパフォーマンスを向上させることができるはずだ。 たとえばアゼルバイジャンでは、メインストレートを含む全開区間以外にも、中間セクターでもフラップが歪んでいるのが確認できた。ただその時のフラップの動きは、メインストレートほどではなかった。 まさに”ミニDRS”とでも言えそうなこのマクラーレンのフレキシブル・リヤウイング。この技術は、F1のエンジニアが示した独創性の新たな例だと言えよう。F1では、ライバルが考えすらしなかった方法でレギュレーションを解釈する方法を見つけることで、優位に立つ一助にすることができる……そんなスポーツなのだ。 そしてもっと興味深いのはこれからのことだ。他のチームも、間違いなくこの設計手法を取り入れてくることだろう。しかしながら、今シーズンの高速サーキットでのグランプリは、ほとんど終了してしまった。そのことを考えると、今シーズン中にマクラーレン以上にこの手法を活用できるチームは出てこないだろう。
Matt Somerfield