圧巻のパワーとサウンド! メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンスへ試乗 動力源はGTのPHEVと同じ
快適性へ軸足 ロードスターのグランドツアラー
操縦性を確かめてみると、クーペボディのAMG GTに並ぶほど、正確でタイトとはいえないだろう。ボディのねじり剛性は約30%低く、フロントのトレッドは僅かに狭く、タイヤのサイドウォールも僅かに厚い。快適性へ軸足は置かれている。 とはいえSLらしく、目抜き通りを優雅に流したり高速道路を巡航するだけでなく、チャレンジングな区間にも見事に対応してみせる。入力に対する反応は予想しやすく、運転しやすいように思う。 同等のパワートレインを積むGT 63 S Eパフォーマンス以上に、サーキットへ向いているわけではないとしても。 南フランスを優雅に流すようなラグジュアリー・ロードスターと、欧州大陸を横断するような高性能オープン・グランドツアラー。SLのプラグイン・ハイブリッドは、この2つの側面を見事に両立できている。 燃費は、カタログ値で13.0km/L。駆動用バッテリーの容量は4.8kWhとされ、フル充電で駆動用モーターだけで走れる距離は、最長13kmがうたわれる。
最新のパワートレインが叶える魅力
実用性では、荷室容量の大きい63 4マティック+の方が優れることは否めない。それでも、電気だけで走れる能力が、SLの訴求力を僅かでも高めていることは明らかだ。 シリアスな運転の楽しさでは、兄弟のクーペに届いていないかもしれない。だとしても、最新のパワートレインが叶える圧倒的な速さは確かな魅力だろう。公道で発揮できる領域を、遥かに超えているけれど。 なお、英国価格はまだ発表されていない。予想では、18万5000ポンド(約3552万円)前後になるのではないだろうか。 ◯:見事な動力性能 聴き応えのあるサウンド 洗練された走り △:短すぎる電気だけでの走行距離 隠しきれない車重 やや精度に欠ける操縦性
メルセデスAMG SL 63 S Eパフォーマンス(英国仕様)のスペック
英国価格:約18万5000ポンド(約3552万円/予想) 全長:4705mm 全幅:1915mm 全高:1359mm 最高速度:317km/h 0-100km/h加速:2.9秒 燃費:13.0km/L CO2排出量:175g/km 車両重量:2125kg パワートレイン:V型8気筒3982cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター 使用燃料:ガソリン 最高出力:816ps/5750-6500rpm(システム総合) 最大トルク:135.1kg-m/2500-4500rpm(システム総合) ギアボックス:9速オートマティック(エンジン)+2速オートマティック(電気モーター/四輪駆動)
グレッグ・ケーブル(執筆) 中嶋健治(翻訳)