梶芽衣子「70代で殺陣に挑戦。30代半ばでは胆嚢炎になり、健康を意識。仕事をするために、ストイックな食生活も続けられる」
◆やりたいことがあるって、大切なこと 下戸なのは幸いでしたが、昔は煙草も吸っていて、まあ体に悪いことだらけの前半生。30代半ばでは胆嚢炎になりました。そのときお医者さまから「お肉を食べるなら、一回の食事の70%は野菜にしなさい」「甘いものが食べたいなら食事の延長線として、食後すぐに」と諭されて。 自分なりに工夫して現在まで続けているのが、それまで夜にいただいていた内容を、朝に回す食生活です。私の朝食を見たら、「朝からこんなに?」とびっくりされると思います。 気をつけているのは、量より食材の種類。朝からお米をしっかり食べるので、撮影があっても昼はバナナ一本で十分。夜もさっぱりしたメニューに。夏なら枝豆ゆでて、冷ややっこに鰹節やおねぎをのせて、後は白身のお魚だとかしゃぶしゃぶしたお肉だとか。そのくらいです。 朝はおそうめん、昼はおそば……といった献立は一見あっさりしていますが、栄養バランスがよくないので体に力が入りませんね。 あっさりした夕食だと、夜も早く休めます。最近は眠くなったら、8時半でも寝ちゃう。朝早く目が覚めて、日課であるストレッチをじっくり20分行い、お掃除したり片づけしたり。そうそう、早起きすると、大好きな大谷翔平さんの活躍を生で観戦できるのよ。(笑)
ストイックだと思われるかもしれませんが、やりたいことがあるから続けられるんです。『幽☆遊☆白書』のときとんでもない役がきたわって思ったように、お仕事のオファーは何がくるかわからない。でも普段精進していれば、体が動きます。すべては仕事をするための食生活であり、精進。だからやりたいことがあるって大切ですよ。 来年にはコンサートも予定されていて、いまからそれを楽しみにしています。今年5月に開いたライブでは、「修羅の花」以外はレコーディングでしか歌ったことのない曲でしたから、覚えるまでが大変でした。スタッフの前では平気な顔をしていたけれど、本番を終えるまで内心ひやひや。(笑) こう見えて私、かなりのあがり性なんですよ。歌番組に出ていた頃も、マイクを持つ手がぶるぶる震えるのがわかるくらい。芝居でも、本番で頭が真っ白になるほど緊張するのはいつものことでした。 でも、この異常なドキドキ感は何だろうと考えてみたら、「あ、自意識過剰か」とわかったんですよ。たまにしか歌番組に出ないから、絶対に失敗したくない、少しはうまく聞かせたいという自意識が出てしまう。 それに気づいてからは、歌の面では「楽しめばいいんだ」と完全に吹っ切れましたね。芝居では、まだその余裕がないことのほうが多いのですけれど。 自分がいやだと思うこと以外は果敢に挑戦しながら、芝居も歌も楽しんでいこうと思います。 (構成=山田真理、撮影=大河内 禎)
梶芽衣子
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