老齢年金《60歳・65歳・70歳・75歳》どのタイミングで受給するのが得?損益分岐点をシミュレーション
老後に受け取れる公的年金は、原則として65歳から受給が開始されますが、実は受給開始年齢を早めたり遅らせたりすることができるのをご存知でしょうか。 ◆【シミュレーション結果をみる】老齢年金:繰下げ受給の損益分岐点を確認しよう たとえば、60歳でリタイアを考えている方は、年金額は少なくなりますが、60歳から年金を受給することが可能です。 反対に、75歳まで現役で働きたいと考えている方は、年金受給を遅らせて、年金額を増やすこともできます。 このように、個々の状況に応じて年金の受給開始年齢を柔軟に調整することが可能です。 では、どのタイミングで年金を受給するのが最も「お得」なのでしょうか。 本記事では、60歳・65歳・70歳・75歳のどのタイミングで年金受給を開始するのがお得か、シミュレーション結果を交えて紹介します。 年金受給を早める「繰上げ受給」と、年金受給を遅らせる「繰下げ受給」についても解説していますので、あわせて参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金の受給開始年齢は65歳以外にもあるって本当?
まずは、年金受給を早める「繰上げ受給」と、年金受給を遅らせる「繰下げ受給」の仕組みから確認していきましょう。 冒頭でお伝えしたように、年金の受給開始年齢は原則65歳となっていますが、「繰上げ受給」もしくは「繰下げ受給」という制度を利用することで、受給開始年齢を変更できます。 繰上げ受給と繰下げ受給それぞれに「メリット・デメリット」が存在するため、次章にて見ていきましょう。 ●年金を早く受け取れる「繰上げ受給」とは 繰上げ受給とは、最大で60歳まで「年金受給を早められる」制度です。 つまり、早期退職や定年退職などの理由で「早めに老後生活を始めたい」場合、繰上げ受給を活用すれば、本来の受給開始年齢よりも早く年金を受け取れるようになるのです。 ただし、繰上げ受給を選択した場合、受け取れる年金受給額が減額されます。 たとえば、年金の受給額が15万円だった場合、60歳まで受給開始年齢を繰上げると、受給額は「11万4000円」にまで減額されてしまいます。 通常よりも早く年金を受け取れる一方で、繰上げ受給によって「一生涯の年金額が減額された状態が続く」ため、デメリットを十分に理解したうえで検討することが重要です。 ●年金を増やすことができる「繰下げ受給」とは 繰下げ受給とは、75歳まで年金受給を繰り下げられる制度です。 繰下げ受給を活用して、本来よりも受給開始を遅らせることで、受け取れる年金額を増額させることができます。 たとえば、年金の受給額が15万円の場合、75歳まで繰下げ受給をした後に年金を受給すると、受給額は「27万6000円」に増額されます。 この増額分も、繰上げ受給の減額と同様に「一生涯」続くため、年金額を増やしたい方にとっては魅力的な制度と言えるでしょう。 ただし、繰下げ受給期間中は年金を受け取れないため、その間は他の収入源の確保や貯蓄の取り崩しが必要となります。 さらに、世帯によっては加給年金や振替加算の支給が受けられなくなる場合もあるため、注意が必要です。 では結局、年金はどのタイミングで受給を開始するのがお得なのでしょうか。