戦時中に殺害されたゾウ「きょうだいのように育った」少年が目撃した動物園での悲劇
戦争中に、動物園で飼育されていた動物は殺処分された―――。父親が動物園の職員だった8歳の少年は、きょうだいのように育ったゾウが眼の前で殺害されるのを目撃したという。11月19日にRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』に出演した、RKB毎日放送の神戸金史解説委員長は「動物園は、戦争と平和を考える場所なのかもしれない」とコメントした。 【写真で見る】戦時中殺害されたゾウと暮らしていた金澤さん ■福岡市動物園でゾウの公開日が決まる 福岡市動物園がミャンマーから受け入れたアジアゾウ3頭の公開日が11月30日に決定したと、11月25日のニュースで伝えられました。今年7月にミャンマーからアジアゾウを受け入れ、環境に慣らすために飼育を続けてきました。公開初日には公募していたアジアゾウの名前も発表されます。 ゾウさんは動物園には欠かせない人気者ですよね。しかし戦争中は大変なことがあったというのは、2週間前のこのコーナーでお話しました。福岡市で11月7日と8日に朗読劇が開かれ、野坂昭如さんの『戦争童話集』(中公文庫、1980年、税別514円)から、「干からびた象と象使いの話」を朗読した様子を紹介しました。 動物が空襲などで動物園から逃げ出したら大変なので、殺処分命令が出されました。福岡も含めて、全国の動物園で悲劇的な殺害が行われていた話をベースにした童話でした。 ■動物園でゾウと暮らしていた少年 この公演をする前の今年7月、朗読メンバーは熊本に住む金澤敏雄さん(87歳)に会いに行きました。金澤さんの父親は、熊本市動物園の飼育員としてゾウを担当し、ゾウ舎の隣に自分たちも住んでいました。 金澤さんは高齢ですが元気で、福岡市で開かれた朗読劇にも2日目に来場していました。初日に行った私は会えなかったのですが、RKB報道部の記者が熊本市まで取材に行って話を聞いています。 朗読劇のメンバーや記者によると、金澤さんは「ゾウ舎と私の住まいは同じ棟。ガラスを1枚挟んで手前がゾウ舎、こちらが私たちの住まい」という暮らしだったと言います。エリーという名のアジアゾウは9歳、金澤さんは当時8歳。本当に「きょうだいのように育った」と振り返っています。