反対の声殺到でどうなる?!欧州スーパーリーグ構想
背景のひとつには昨年から見舞われている新型コロナウイルスの世界的なパンデミックで、各クラブが大幅な減収を余儀なくされている待ったなしの窮状がある。アメリカの金融大手、JPモルガン・チェースが資金提供で後押ししているESLの創設クラブには、総額35億ユーロ(約4560億円)の準備金が一括で分配されると報じられている。 もうひとつの背景として、UEFAが進めてきたチャンピオンズリーグの改革案があげられる。UEFAは現地時間19日の執行委員会で、現行で32クラブが本大会に出場しているチャンピオンズリーグを、2024-25シーズンから36クラブに拡大する新方式への移行を全会一致で可決した。 試合数が増える点などを含めて、ビッグクラブの要望に添った改革案とされていた。しかし、莫大な放映権料がUEFAを介して各クラブへ分配される形態は変わらず、さらに過密となる日程が選手へのしわ寄せとなる点でビッグクラブ側は納得できなかったのだろう。 UEFA執行委員会の採決に先駆けて発表された共同声明には、ESL側が抱く不退転の覚悟が反映されていた。 UEFAの執行委員にはフランスのビッグクラブ、パリ・サンジェルマンの会長兼CEOを務めるカタール出身の富豪、ナーセル・アル・ヘライフィー氏も名前を連ねている。経営トップがUEFAの改革案を支持しているパリ・サンジェルマンに加えて、ブンデスリーガを代表するビッグクラブ、バイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムントがESLへの参加を拒否した。 バイエルンのカール・ハインツ・ルンメニゲ会長は日本時間20日未明に、クラブの公式ウェブサイト上でこんなコメントを発表している。 「新型コロナが生み出した各クラブの財政的問題を、スーパーリーグが解決するとは思わない。むしろヨーロッパのすべてのクラブが連帯してコスト構造の改革を、特に選手の報酬やエージェント費用が、コロナ禍における収益と見合ったものにするように取り組む必要がある」 唯一無二となる最高峰の舞台として、チャンピオンズリーグをさらに拡大・発展させていく方針を固めたUEFAは、言うまでもなく交渉を重ねてきたESLの決定に対して不快感を募らせている。 スペインサッカー連盟、ラ・リーガ、イングランドサッカー協会、プレミアリーグ、イタリアサッカー連盟、セリエAと共同の形で発表した緊急声明のなかで、UEFAは「私利私欲に基づいて設立された、厚かましいプロジェクト」とESLを一刀両断。サッカー界の団結を保ち、あらゆる手段を講じて分断へ向けた動きを阻止すると宣言した上で、最後を過激な言葉で締めくくっている。 「Enough is enough(いい加減にしろ)」