かんぽ生命、本腰入れた超長期債投資に慎重-日銀の不確実性警戒
(ブルームバーグ): かんぽ生命保険は、金利の上昇で超長期債利回りは魅力的な水準になってきたとの見方を示す一方で、日本銀行の国債買い入れ減額を巡る不確実性が高く、本腰を入れて購入に踏み出すには至っていない。
野村裕之執行役員兼運用企画部長は5月31日のインタビューで、「金利が上がってきたので超長期債利回りは魅力的な水準にはなってきている」との認識を示したが、年度がスタートしたところであり、「フルアクションでいくというよりは、今後の展開を見ながら買い入れを行いつつある」と述べた。
生命保険会社が主な投資対象とする30年債の利回りは6月3日時点で2.23%と、調達コストである予定利率を上回る水準に上昇している。急ピッチの金利上昇を受け、市場では国債の買い手として生保に期待する声も出ているが、金利の急変動を受けて投資家の多くは及び腰になっており、本格的な買い出動には金融政策を巡る透明感の払拭が欠かせない。
金利先高観が強まる中、6日には30年債入札が行われる。野村証券の松沢中チーフストラテジストは、前月の30年債入札がかなり不調だったため、「不安感が強い」と指摘。生保は長期保有を前提としており、「相場が下げ局面である場合や金融政策の修正が迫っている場合などは様子見に徹しやすい」との見方を示した。
かんぽ生命の野村氏は「日銀の中でも金融政策の正常化を進める確率やスピードがじわじわと高まっており、前倒しで実施していくような雰囲気が少しずつ出ている」とみる。追加利上げについては、6月か7月にあっても「サプライズではなくなってきた」とし、その次の利上げも「視野に入っている」と言う。
むしろ、市場が神経質になっているのは日銀の国債買い入れ減額を巡る不確実性だと野村氏は説明。「長期投資家にしてみれば、ファンダメンタルズや利上げのタイミングをどう見るかという情勢判断とは異なり、短期的なボラティリティーを上げる材料になっており、非常に様子見になるのは間違いない」と話す。