〈ニッポンの相続問題〉重たい介護負担・金銭負担…背景に潜む、相続人それぞれの割り切れない実情【弁護士が解説】
現実問題「裁判でスパッと解決!」とはなりにくく…
上記2例のような「寄与分請求」「不当利得返還請求」がなされた場合、どのように解決を図るのでしょうか? 寄与分請求・不当利得返還請求ともにハードルが高いことから、「請求を認めさせる」ことだけで裁判や調停を起こすより、基本措置として「遺産分割調停」「遺産分割審判」という基本ルートで解決を図ることが多いように思います。 その際、調整要素として「これだけ面倒を見てきたから、その分は譲ってほしい」と寄与分の主張したり、「こういうところが曖昧だから、評価のところでちょっと譲ってほしい」と不当利得返還請求をしたりといった、相続人のあいだで調整を行うことで納得してもらい、相続を終わらせるというのが、現実的な解決策だといえます。 もし、上述の調整では双方の納得が難しいとなれば、寄与分の場合は「寄与分調整調停」という別の手続きを起こさなければいけませんし、不当利得の請求も「不当利得返還請求訴訟」という訴訟を起こさなければいけません。 そのため、立証面の難しさと、手続き面の大変さを鑑みたうえで、遺産分割調停や遺産分割審判といった基本ルートで解決・着地を目指すのが実情なのです。 (※守秘義務の関係上、実際の事例と変更している部分があります。) 山村法律事務所 代表弁護士 山村暢彦
山村 暢彦
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