阪神・才木 藤井王将にあやかり来季は「8冠」狙う「獲れるやつは獲りたい」 趣味が将棋、好きな駒は飛車
阪神の才木浩人投手(26)が8日、甲子園球場で行われた「日本将棋連盟×阪神甲子園球場 100周年記念対局 藤井聡太七冠×羽生善治九段」のスペシャルトークショーに出演した。趣味が将棋の右腕は来季、先の流れを読む“将棋脳”を駆使することを宣言。昨年10月に棋界の全8冠を独占した藤井聡太王将(22)=現7冠=にあやかり、来季は投手の主要4タイトルを含む「8冠」獲りへ意欲を口にした。 幼少期から父と将棋を指し、好きな駒が「飛車」の才木。ライバルたちを寄せ付けないほど真っすぐに突き抜けた目標を口にした。 「去年からずっと言っていますけど全部、獲れるやつは獲りたいなと思っているので」 昨年10月に棋界の8冠を独占した藤井にちなんだ質問にも迷うことはなかった。最多勝、最多奪三振、最優秀防御率、最高勝率の投手4冠に加えて、MVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を「8冠」とした報道陣に「うまいっすね」とニヤリと笑うと、堂々と宣言した。 「獲れるやつは獲りたい、一つ残らず。それぐらい圧倒的な結果を出したいと思っているのでトレーニング、練習をしっかりやっていきたいなと」 NPBでは過去にオリックス時代に3年連続達成した山本(現ドジャース)しかいない「8冠」。背番号35が目指す現実的な目標だ。当然、チームのV奪回への貢献が前提で「特にMVPは優勝チームから選ばれやすい。優勝するつもりでいますし、その中心で回っていきたい。それぐらい圧倒した成績を残せられれば勝手に結果としてついてくる」と力強くうなずいた。 8年目の今季は13勝、防御率1・83、137奪三振、勝率・813が全てチームトップだが、タイトルには届かず。「今年は全部獲れなかったですけど。来年は獲りたい」。無冠からの躍進へ駆使するのは「将棋脳」。「どれくらい先までのことを考えているのか気になる」と興味津々だった藤井とは、対局した羽生とともに対局後、対面して言葉を交わす場面もあった。 「配球とか昨年、一昨年より考えられてますし。(捕手と)こういうボールをもっと使えたらいいよね、みたいな話もできたので。そういうところは野球でも良くなってきてるかなと思う」 偉大な棋士に大いに刺激を受けた。トークショーでは虎党でもある谷川浩司十七世名人から「今日お越しいただいたということで免状をお送りしたい」とアマ初段の免状を贈られるうれしいサプライズもあった。 武器の直球、フォークだけでなく磨きをかける、先を読む力。才木が飛車のごとく目の前の敵をなぎ倒し、無双の8冠を目指す。(遠藤 礼) ○…ゴールデングラブ賞が制定された1972年以降、勝利数、防御率、勝率、奪三振の投手タイトル4冠に、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、リーグ最優秀選手(MVP)、沢村賞を加えた8冠を達成したのは、2021~23年の山本由伸(オ)のみ。1980年の木田勇(日)は、当時はセ・リーグのみが表彰対象だった沢村賞を獲得できず、90年の野茂英雄(近鉄)はゴールデングラブ賞、99年の上原浩治(巨)はMVPを逃して7冠に終わっている。 ○…藤井は対局後、報道陣の取材に応じ、風貌が似ているとの声もある才木に話題が及ぶと「でも、体格が全然違う」と苦笑い。まだ22歳ながら、運動の必要性を常々口にしており「運動する機会を増やしたい。見習いたい」と語った。トークショーで才木が「何手先まで読むのか聞いてみたい」と話したことには「局面によって、どこまで読むか変わってくる。終盤だと、正確に読む必要性があるので30手くらい」と7冠の奥深さを示した。 ○…才木は来年3月16日に予定されるドジャースとのプレシーズンゲーム登板へ、改めて決意を口にした。前日、藤川監督が「才木が投げたらいいなと思ってる」と先発を明言。これを受け、最初は「良いカーブが投げられたら」と“変化球”の返答でかわしたが、「(大谷は)王将の王将でしょ!大谷さんだけじゃないけど、そういう選手と対戦できるのは良い経験になる」と昨春、侍ジャパンとの強化試合で“膝つき弾”を浴びた大谷との再戦を心待ちにした。