【独自解説】公開後に修正・削除された投稿も…違法か?適法か?わかれる『解釈』兵庫・斎藤知事とPR会社代表の“食い違う主張”に見える『問題点』とは
Q.ボランティアだったかどうかは、会社の勤務記録なども照らし合わせて確認していくことになりますか? (赤堀弁護士) 「今回は公職の候補者で、『会社として』の寄附は一切できません。ただ、何が会社か・何が個人かは、小さな会社になればなるほど切り分けが非常に難しいと思います。組織的一体性を持って選挙活動に協力しているとなれば、『会社として』に近づきます。どれぐらいの人数が関与したのか、社長と社員の間でどんなやり取りがあったのか、社員は『行きたくない』と思ったけど社長の指示で行ったのか、それとも志を同じくする社員が集まって『我々で進めていこう』という、個人の集合体としてやったのかなど、そこは勤務記録などを細かく見ていかないと、判断は簡単ではないと思います」 Q.気持ちの話にもなりますし、何が組織的一体性かは判断しづらいですよね? (赤堀弁護士) 「今、『個人のボランティアか』『会社の業務か』のどちらかに切り分けられる二者択一のような話になっていますが、グレーゾーンはかなりありますので、どこまでハッキリと言い切れるかどうか。そこまでハッキリと言わないといけないです」 (横須賀解説委員) 「白黒ではなく、かなりグレーで、その条文をどのように読み解くかというのは専門家・エキスパートの仕事だと思います。勤務実態についても、ちゃんと記録に残っている勤務時間やLINE・メールのやり取りなどをしっかり証拠として裏付けて、勤務なのかボランティアなのかを立証していくことが、説得力という部分で大切になってくると思います」
■3年間で謝礼15万円は“特別な利益”に当たる?「人によって捉え方はいろいろ」
『会社として』ではなく『個人として』でも、公職選挙法199条には「地方公共団体と特別の利益を伴う契約の当事者である者は、寄附をしてはならない」とあります。PR会社代表は県の有識者会議に参加し、3年間で謝礼15万円が県から支払われていました。
ただ、ここも『特別の利益』をどう読み解くか、解釈に違いがあります。斎藤知事の代理人・奥見弁護士は、「委員としての謝金は、3年で約15万円。規模が大きい“特別の利益を伴う契約”と評価することはできない」としています。“規模が大きい特別の利益”とは、例えば額も規模も大きい公共工事などが一例として挙げられます。 一方、元検事・中村弁護士は、「自治体の地方創生の委員などを務めたことで、PR会社の信用力が高まり、営業利益を得ることができるとなれば、少額とはいえ委員としての報酬を得ていたことも考えると、“特別の利益”となる可能性」との見解を示しています。 Q.法律家の間でも見解が分かれているんですね? (赤堀弁護士) 「原則は、金額で考えるべきでしょう。実際の稼働時間に裏付けられないような大きなものや、1回出たらいくら貰えるというような、自分の時間を使った結果金額が支払われるものなど、全体としての自分の行動と、その対価としての大きさとして考えるべきでしょう。『信用力が』とは言いますが、それは評価の問題で、人によっては信用がつくだろうし、逆にそれを既得権益だと言う人もいるだろうし、捉え方はいろいろなので、私は15万円を“特別の利益”とみなすのは、なかなか難しいのではないかと思います」
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