【防災の日】巨大地震が起きたときに「必ず守るべき体の一部」とは 忘れがちな安全確保の基本をおさらい
低い姿勢で、頭を守る
「低い姿勢で、頭部を守り、動かない」 地震が起きた時に命を守るための安全確保行動である。この三つの行動を身につける「シェイクアウト訓練」はわが国でも広く知られており、自治体や企業などで導入されている。 低い姿勢をとることで、強い揺れで自分が転倒しないように気をつける。そして机やテーブルの下に隠れて頭を守る。机がないときは手や荷物、クッションなどで頭をガードし、揺れが収まるまで体を丸めてじっと動かないことである。前述の調査にあった「その場で身構える」のはまだよしとしても、テレビやスマホに気を取られて落下物の直撃を受けるようなことは避けたい。また、二次被害の状況や避難経路の確認・確保など、周囲に注意を払うのは地震の揺れが収まってからであり、揺れている時はとにかく頭部を中心に、自分の身を守ることが最優先となる。 国会議事堂の衆議院本会議場。議員席の下には、組み立て式の防災ヘルメットが入っている。配備されたのは2017年。1986年から防災頭巾を備えていたが、東日本大震災を受け、ヘルメットに変更になった。地震で議場の上にあるステンドグラスが割れても身を守れるというわけだ。衆院では2017、19、22年に本会議中の地震を想定し、ヘルメットを装着する訓練を行っている。 ちなみにこのヘルメット、参院側には常備されていない。東日本大震災の発生時は、参院決算委員会の質疑中で、出席した議員たちは、分厚い紙の資料で頭を守っていた。参院警務部によると、 「議院運営委員会でヘルメットの導入は了承されており、速やかに設置される予定です」 国会でも地震の際に「頭部を守ること」を重く見ている。腕や足など、他の部位のケガも避けなければいけないが、頭部に受傷した場合、致命傷だけでなく、あとまで尾を引く重篤なケガを負う可能性がある。上述のガラス片に加え、看板、屋根の瓦やコンクリート片。自宅なら食器棚や本棚などの家具が倒れる。それらが倒れないにしても皿や本などの中身が、頭上に落ちてくる危険性が十分にある。 東京都の防災ホームページには、都総合防災部が作成した「外出時の行動マニュアル(地震発生時)」がある。「繁華街」「駅」「電車の中」「劇場・ホール」「デパート・スーパー」「空港」などでは真っ先に、 「かばん等で頭を保護する」 とある。「繁華街」ではさらに、「落下物から身を守り、ビルの倒壊にも注意しながら公園などの広く安全な場所へ避難」するか、その余裕がない場合は「耐震性の高い比較的新しい鉄筋コンクリートのビルに逃げ込む」とあるが、これはオフィス街でも同様だろう。 住宅街の場合は「瓦やガラスなどの落下物から身を守る」、そして「ブロック塀などが崩れると押しつぶされることがあるので近づかない」。空港では「ガラスや天井の落下に備える」としている。 「スーパーやデパートでは、買い物かごで頭を保護するのも一つの手段として有効であり自治体や消防のHPで紹介しているところもあります。また街中ではよく見かける自動販売機の転倒にも注意が必要です」(前出・記者)