加藤誉樹レフェリー単独インタビュー【後編】…「スーパースターたちに囲まれているという意識は全くありませんでした」
パリ五輪の経験を日本のコートへ
――パリ五輪を通じて得たものは? 加藤 レフェリーであれば「一度は立ってみたい」と思うのが五輪男子決勝の舞台だと思います。しかし、FIBAの担当者が割り振りを決めるわけで、つまり自分でコントロールができないことですので、あえて目標にはしないようにしています。ただ、初めて選出された東京五輪の際は、男子決勝を会場で見ていても、自分がそこでレフェリーをする姿は想像できませんでした。 ――2度目の経験で気持ちに変化はありましたか? 加藤 今回のパリ五輪は、昨年のワールドカップを経験したことも加わり、東京五輪のときより、「決勝の舞台への距離は縮まっているかもしれない」という実感がありました。だからこそ割り当てがなく、悔しい気持ちも生まれましたし、届くかもしれないと感じたからこそ、もっと頑張りたいと思いました。今、モチベーション高くトレーニングできているのは、「アスリートが4年間をかけて次の五輪を目指して、寝る間も惜しんで頑張れるなら、自分も頑張れるだろう」という気持ちです。次のロサンゼルス五輪に選んでいただけるかは分かりませんが、選ばれておかしくないレフェリーになりたいですし、そのためにBリーグの1試合1試合を大切に担当していこうと思います。 ――望めば海外挑戦も可能と思いますが? 加藤 海外挑戦の話はありませんが、人生一回限りですし、トライしたい気持ちがないわけではありません。ただし、Bリーグも各国の代表クラスの選手・コーチが集まり、ユーロリーグやNBA、Gリーグに遜色ないステージになるように速いスピードで成長しています。過去にNBAサマーリーグに挑戦された、JBA審判グループ シニア・テクニカル・エキスパートの上田篤拓さんのご尽力もあり、NBAに近いプログラムを導入しています。私もプロレフェリーの漆間大吾さんも、過去にNBAサマーリーグに挑戦しましたが、日本国内でも最先端と変わらない取り組みをしています。まずはしっかり地に足を付けて、Bリーグでレフェリングを極めていくことが重要だと思います。