生理のツラさにも効果のあるピル「親から飲むなと言われた」「ネットで危険と噂」産婦人科医がガチ反論
黄体ホルモン製剤=危険、の勘違い
――ホルモン製剤については、「健康診断をしてくれた医師からそんな危険な薬を飲むのはやめたほうがいい」と言われたケースや、親や友人などから「飲むのはやめなさい」と言われたという話もよく聞きます。 宋先生:「皮膚科の医師から『トラネキサム酸を飲んでいる場合は血栓症リスクが高まるのでピルはやめましょう』と言われた」という話は、患者さんから聞いたことがあります。気をつけるにこしたことはありませんが、実際は禁忌というほどではありません。 基本的には最新のピルについて知識がある婦人科専門医が1番詳しいので信頼してほしいですね。それでも不安な場合は、ピルのガイドラインがネットでも読めるので、そうした“一次情報”を確認するのが良いと思います。 ネットや詳しくない方の話を鵜呑(うの)みにするのはよくないですね。
自分の身体のことは自分で責任を持つべき
――自分自身が医師の話やガイドラインなどで納得していたとしても、家族や友人など身近な人に反対された場合、はどのように説明すれば良いのでしょうか。 宋先生:その方との関係性にもよりますが、健康診断を担当した医師のように、2度と会わない人だったら「わかりました、主治医に相談します」と言えばいいし、家族や友達、彼氏とか友達などちゃんと理解してほしいと思う方なら診察室に連れてきて医者の説明を一緒に聞いたりするのも良いと思います。 ただ、成人しているのだから、自分の体のことを自分で決める!という意思はもってほしいと思います。親だろうがパートナーだろうが口を出す権利はないですし、自分の身体のことは自分が責任を持つべきです。 「私の身体のことは私が決めます」とはっきり伝えた上で“あなたが思ってるような危険な薬ではないよ”と説明できる範囲内で伝えてみてはいかがでしょうか。
低用量ピル・黄体ホルモン製剤と更年期&閉経
――低用量ピルや黄体ホルモン製剤は閉経のタイミングで服用を止めるとされていますが、服用中は生理が止まっているため、いつまで飲めば良いのかわからないと悩む方も多いようです。 宋先生:閉経の平均が50歳ぐらいなので、45歳~55歳ぐらいを目途にやめましょうとお伝えすることが多いですね。あるいは、血液検査で女性ホルモンの数値を確認して判断することもあります。 ――多くの女性が悩まされる「更年期障害」ですが、これは体内のエストロゲン量が急激に減少することで起きるとされています。ということは低用量ピルを服用している限り、更年期障害にはならないと考えて良いのでしょうか? 宋先生:理論上は更年期にならないホルモンバランスにはなります。理論上更年期障害は起こらないかもしれないけど、老化は起こりますし、低用量ピルは更年期に補充する量にしてはエストロゲン量が多すぎるんです。 量が多すぎるということは血栓症のリスクが高まります。そのため、私は45歳ぐらいまででエストロゲンの入っていない黄体ホルモン製剤に切り替えることを推奨しています。