名スカウトのドラフト採点。「一番の成功は阪神の甲子園スター組指名。対照的に低評価チームは……」
プロ野球のドラフト会議が17日、都内のホテルで行われ、本指名74人、育成ドラフト33人の計107人が指名された。史上初めて1位指名が全員抽選になる可能性があったが、蓋を開けてみれば、163キロ右腕の大船渡高の佐々木朗希には、日ハム、ロッテ、楽天、西武のパ・リーグ4球団が競合してロッテ、星稜高の奥川恭伸はヤクルト、阪神、巨人のセ・リーグ3球団が競合してヤクルト、そして、東邦高の右のスラッガー、石川昂弥には予想に反してオリックス、中日、ソフトバンクの3球団が1位指名し中日が交渉権を得た。BIG3と呼ばれた明治大の森下暢仁は広島の単独となり、横浜DeNAも評価の高かった地元、桐蔭学園の森敬斗内野手を単独指名した。 それぞれのチーム事情や方針がハッキリ浮き彫りとなる特色あるドラフトとなったが、ヤクルトの名スカウトとして30年以上ドラフトを見てきた片岡宏雄氏に各チームのドラフトの成否を採点してもらった。
巨人はクジ引き9連敗の悪夢
片岡氏が「95点以上。セ、パを合わせて一番いいドラフトをした」と評価したのは阪神。 「かれこれ40年以上ドラフトを見てきたが、阪神のこんなドラフトは見たことがない。目的がハッキリとしたいいドラフトをした。これまでは即戦力なのか、将来性なのか、焦点がぼやけた中途半端な選手を取ってきた印象が強かったし、2位で取れる選手を1位で取ったりする年もあった。だが、今年は、1位から5位まで甲子園を沸かせた高校生のスターを揃えた。チームの3、4年後を見据えて腹をくくった戦略。高く評価したい。おそらくペナントレースで3位に入り、戦力的に来年は即戦力の新人に頼らなくても大丈夫という判断を球団が下し中長期のチーム強化を決断したのだろう」 阪神は奥川をクジで外したが、Uー18W杯で投打で活躍した西純矢(創志学園)を外れ1位で単独指名し、2位に夏の甲子園で優勝した履正社の4番の井上広大外野手、3位は横浜の左腕、及川雅貴、4位も投手と遊撃手の二刀流で活躍した東海大相模の遠藤成、5位に中京学院大中京高の藤田健斗捕手を指名した。 「西は奥川、佐々木に次ぐ素材で、2位の井上は、巨人の岡本和真になりえる可能性を持った右の大砲だと私は評価している。5位の藤田は捕手に必要な条件をすべて備えている。甲子園組の捕手ではナンバーワンだろう」 セで対照的に「70点台」の最下位評価にしたのは巨人だ。 「3選手に10球団が重複するということは、それだけ1位素材が少ないということ。そうなると、外れ外れ1位となった球団は苦しくなる。その影響をモロに受けたのがクジ引き9連敗という巨人。奥川を外し、宮川哲(東芝)も外した。1位の堀田賢慎(青森山田)は成長著しい右腕で、2位の太田龍(JR東日本)はスケールの大きい投手、4位の左腕の井上温大(前橋商)も伸びしろを感じさせる投手だが、いずれも素材型で補強ポイントの即戦力投手は取れなかった」