「動物病院まで」「引っ越しの長距離移動に」 ペットタクシー、お気軽にどうぞ
公共の交通機関にペットと一緒に乗るときは、ケージに入れなければいけない(介助犬を除く)。それでも鳴き声や臭いなどで他のお客さんに迷惑をかけてしまうかもしれないし、なにより移動中も直接触れ合って構ってあげたい。そんな飼い主の気持ちに応えるべく、ペットの葬儀を業務とする株式会社プログレスが、この夏からペットタクシーの運行を始めた。他社のペットタクシーとのサービスの違いや利用者の声などを、代表取締役・森山友祐子さんに聞く。 【写真】車内の様子…ケージ利用を推奨していますが、飼い主が同乗して構ってあげることもできます
動物病院へ連れていったりサロンへ連れていったりと用途はさまざま
森山さんによると、3世帯のうち1世帯はペットを飼っているという。「動物病院へ連れていく」「ペットサロンへ連れていく」「ドッグランへ連れていく」など、徒歩では遠い、病院まで歩かせるわけにいかないけれど飼い主が自前の移動手段をもっていない場合には、公共の交通機関やタクシーを使わざるを得ない。しかし、公共交通機関だと、ケージに入れると個体によっては不安がって鳴き続けたり、ときには遠ぼえしたりすることもあって他の乗客に迷惑をかけてしまう。タクシーも、ケージに入れて乗車できることになっているが、現状ではドライバーがアレルギーをもっていたり、シートを汚されるのを嫌ったりして断られることがあるという。 このように、ペットを連れて移動することに何らかの不便を感じている飼い主にとって、ペットタクシーのメリットは、飼い主が誰に気兼ねすることなくペットと一緒に乗車できること。森山さんが取り組んでいるペットタクシー「ハピネス」は、比較的リーズナブルな料金で、長距離移動にも対応してくれるという。 「大阪から神奈川までの引っ越しに伴って、猫ちゃんと一緒にご利用された20代の女性がおられました」 その女性は就職で宮崎から大阪へ引っ越した際、猫を連れて来た。そのときはマイカーに乗せて自分で運転したのだが、乗り物に弱い猫だったため、車酔いして嘔吐してしまったという。車内を汚してしまったが、マイカーだったのが不幸中の幸いだった。 そして今度は、神奈川までケージに入れて運ぶにしても、公共交通機関だと他のお客さんに迷惑をかけてしまう恐れがある。ペットタクシーなら運転はドライバーに任せて、自分は猫の横に一緒に乗り、構ってあげたり世話をしてあげたりできるため利用を決めたのだそうだ。 ちなみに、大阪~神奈川までの運賃は15万円。これをどう評価するかは、飼い主の価値観しだいだ。 「ご利用された女性の方は、自分のためとは別枠で猫専用の貯金もしていると聞きました。運賃はその貯金から出されたそうです」 もともと猫のために貯金していたので、公共交通機関より料金がかかることは納得していたという。 長距離移動中は飼い主が同乗して、気分が悪そうだったらその都度休憩を挟んだり、おなかが空いてきたらごはんをあげたり、ドライバーが柔軟に対応してくれるそうだ。 「今回はこまめに休憩をとり、車酔いせずに猫ちゃんを神奈川まで連れていけたのでとても嬉しかったと感謝していただきました」 この事例は長距離だが、ふだんは動物病院へつれていく、サロンへつれていくなど、日常の足としての利用が多いという。 とくに今年の夏は連日の酷暑日で、頭の位置が地面に近い犬や猫などには熱中症のリスクが高かった。とくに行きつけの動物病院やサロンまで10km以上も離れていると歩くには遠いし、公共の交通機関だとケージに入れて運ぶのも大変だ。そういう理由で、飼い主にとっても、ペットタクシーは使い勝手が良いのだそうだ。