長内那由多の「2024年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 リミテッドシリーズに傑作が揃う
3. 『窓際のスパイ』シーズン4
長編映画を拡張した重量級作品に食指が動かないのなら、ゲイリー・オールドマン率いる窓際諜報員たちが奮闘する人気サスペンスをおすすめ。ギャグとスリルの理想的な融合は、毎週決まった時間にテレビドラマを見る楽しさを甦らせてくれる。2年間で4シーズンをリリースした製作体制は、今年シリーズベストを更新。1シーズン完結で全6話。お正月休みのお供にどうぞ。
2. 『ディスクレーマー 夏の沈黙』
監督、脚本アルフォンソ・キュアロン。主演ケイト・ブランシェット。撮影エマニュエル・ルベツキ、ブリュノ・デルボネル。音楽フィニアス・オコネル。1冊の小説が著名ドキュメンタリー作家をキャンセルする本作はおよそスマホでの視聴を想定していない、現代最高の映画技術によって作られている。そして自分の望むストーリーを妄信してしまう人々の姿に、小さなスマホから世界を覗く自分を疑ってしまうはずだ。
1. 『THE PENGUINーザ・ペンギンー』
なぜ最新作をリアルタイムで観るのか? 優れたアーティストが時代と呼応し、傑作を世に出す瞬間に立ち会うためだ。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』に登場した悪役ペンギン=オズ・コブが主役のスピンオフ……という触れ込みは一旦、脇に置いてほしい。『ブレイキング・バッド』以来、最高のギャングドラマは2024年11月、トランプの再選と時を同じくして最終回を迎えた。海を隔てた私たちには大統領選の熱狂が不可解に映ったかもしれないが、全ての理由はゴッサムシティにある。ではバットマンは何処に? 最後の瞬間までお見逃しなく。
長内那由多(Nayuta Osanai)