東京マラソンで揃って日本人トップに輝いた“世界最速カップル”鈴木健吾&一山麻緒の行方は?
レース後、鈴木と一山はハグをして互いの健闘を称え合うと、ヒロインの瞳から涙がこぼれ落ちた。ふたりにしかわからない苦しみと喜びがあったことだろう。ふたりの合計タイムは4時間26分30秒。同一レース夫婦合計タイムでギネス記録を上回ったことになる。そして一山もオレゴン世界選手権の代表を大きく引き寄せた。 「一山君は練習がかみ合わない部分もあり、東京五輪で目標を達成できなかった。その後も思った以上に精神的な疲労が残っていたんです。マラソン練習に入る12月1日までは彼女自身もすごく苦しんでいたのかなと感じました。12月1日に入籍したんですけど、それを機に確実に変わりましたね。東京マラソンに向けてしっかり準備ができたかなと思います。お互いプロですから、ともに意識は高まったんじゃないでしょうか。彼がいるから一山君はさらに強くなると思います」(永山監督) 福嶋監督によると、鈴木は結婚のことを聞かれるのが好きではないというが、パートナーの存在が大きいことは間違いない。富士通は千葉、ワコールは京都が活動拠点。ふたりが一緒にいられる時間は多くないが、見つめている景色は同じだ。 今夏のオレゴン世界選手権を経て、2024年のパリ五輪へ。26歳の鈴木と24歳の一山。日本が誇る“最速カップル”は互いに高め合いながら、世界との真っ向勝負を目指していく。 (文責・酒井政人/スポーツライター)