東京マラソンで揃って日本人トップに輝いた“世界最速カップル”鈴木健吾&一山麻緒の行方は?
「今回、日本人のなかで勝てたことは僕にとって収穫だったと思っています。でも優勝したエリウド・キプチョゲ選手とは3分近い差がありますし、自己ベストも世界記録と3分以上の差がある。世界と戦うには、その差を少しでも縮めていかなければいけません。自分らしくじゃないですけど、自分のレースをしながら少しずつ距離を縮めていきたいなと思っています」 調子が良ければ第1集団で勝負したい気持ちもあったという鈴木。今夏はオレゴン世界選手権で“日本のエース”として戦うことになる。 妻の一山も世界記録保持者のブリジット・コスゲイ(ケニア)らがいた2時間16分26秒ペースの第1集団ではなく、2時間18分32秒ペースとなる1km3分17秒設定の第2集団を選択。東京五輪で8位入賞を果たしたマラソン現役日本人最高記録保持者は、10000mとハーフマラソンで日本記録を持つ新谷仁美(積水化学)と激突することになった。 ふたりは中間点を1時間9分29秒、30kmは1時間39分02秒で通過。ペースメーカーがいなくなった後は一山が果敢に引っ張った。日本記録(2時間19分12秒)の更新も期待されたが、終盤は向かい風もあり、ペースが上がらない。「前だけを見て走っていました」という一山が40km手前で新谷を引き離すと、セカンドベストの2時間21分02秒で日本人トップ(6位)に輝いた。13年ぶりのマラソンとなった新谷も2時間21分17秒(日本歴代6位)の好タイムをマークした。 「30kmまではペースメーカーさんに合わせてジョグ感覚でいきたかったんですけど、思ったよりも余裕がありませんでした。だけど、絶対に世界選手権の代表を勝ち取りたいという思いで(脚を)動かしました。余裕がないわりには、最後まで大きくフォームを崩さずに走ることができたのは練習の成果が出たのかなと思います。ただ目指していたのは2時間20分を切るところだったのでまだまだですね」 ワコールの永山忠幸監督によると仕上がりは良好で「2時間18分台後半」を狙えるほどのトレーニングができていたという。「日本人トップは想定通りでしたが、自己ベストを出せなかったのはもったいなかった。第1集団で行こうか迷ったんですけど、世界選手権の代表を確実につかむために私も慎重になりすぎました。30km以降は(新谷との)勝負になって、向かい風もあったのできつかったですね」と好タイムを逃したのを残念がった。