東京マラソンで揃って日本人トップに輝いた“世界最速カップル”鈴木健吾&一山麻緒の行方は?
2年ぶりの開催で男女の世界記録保持者も登場した東京マラソン2021は大いに盛り上がった。そのなかでも強烈な輝きを放ったのが、鈴木健吾(富士通)と一山麻緒(ワコール)だろう。ふたりは昨年12月1日に結婚を発表。今回は夫婦そろって同一レースに挑戦した。 男子は第1集団が2時間2分22秒ペースの1km2分54秒、第2集団が2時間4分29秒ペースの1km2分57秒というタイム設定だった。2時間4分56秒の日本記録を持つ鈴木は第2集団を選択。中間点を1時間2分33秒で通過した。このあたりから鈴木が徐々にペースを上げていく。 「今回はあまり状態が良くなかったので、早い段階で勝負を決めたいなと思っていたんです。20kmぐらいから少しペースが落ちたので、元のペースに戻してほしいという意味でちょっとあおってから、ペースメーカーが外れた25kmで一気に勝負を仕掛けました」 鈴木は30kmまでの5kmを14分42秒で走破。他の日本勢を突き放した。35kmまでの5kmも14分53秒でカバーして4位に浮上。その後は向かい風もあり、ペースダウンを余儀なくされたが、上下動のない美しいフォームは崩れなかった。 「後半は苦しい局面が結構多かった」という鈴木は日本記録の更新を逃すも、パフォーマンス日本歴代2位の2時間5分28秒でフィニッシュ。直後のTVインタビューで、「昨年、日本記録を出してから1年間、とても苦しかったんですけど、それを今日、乗り越えられたかなと思います」と話すと涙があふれた。 鈴木はJMCシリーズランキングでトップに立ち、今大会の目標に掲げていたオレゴン世界選手権の代表入りを確実なものにした。 大会2日前のプレスカンファレンスでは「コンディションはぼちぼちです」と答えていた鈴木だが、日本記録を出した昨年のびわ湖と比べると「5~6割」の状態だったという。びわ湖と同じ流れでマラソン練習に取り組んでいたが、徳之島合宿後に膝裏を痛めて、2月前半に10日間ほどポイント練習ができない期間があったのだ。 それでも日本記録保持者として追われる立場でレースに向かわなければならない。それが重圧になっていた。しかし、今回は様々な不安を吹き飛ばして、素晴らしい走りを披露。日本人2位に2分近い大差をつけた鈴木の強さは本物だ。 「去年のびわ湖は好タイムが出るかなと思っていたんですけど、今回は本当にやってみないとわからない状況だったんです。まさか5分台が出るとは想像していなかったので、凄いなと思いましたね」と富士通の福嶋正監督も驚くようなパフォーマンスだった。