4年で戦力外通告、でも「意外とスッと入ってきた」 国立大学から中日の育成選手になった左腕が見た「プロの投手の凄み」
【取材を終えて】 プロを目指していた大学4年のころから取材させてもらった。ドラフト会議で夢をかなえ、プロの世界で頑張る姿を追ってきた。オフの自主トレーニングでは、キャッチボール相手を務めさせてもらったのも貴重な経験だ。プロの投手の球威に驚かされた。グラブが勢いに負けてはじかれる感覚があり、ボールの強さはこれまでキャッチボールをした誰よりも強かった。 プロ野球選手ではなくなっても、野球への思いと探究心は変わらないようだ。戦力外通告を受けた後に一緒に食事をした際、筆者が今季取材した阪神の大竹耕太郎投手が球速の異なるスローボールを続けて抑えた話をすると、「いつの試合ですか?」と興味津々で動画を探し始め、食い入るように画面を見詰めていたのが印象的だ。 今後は純粋に野球を楽しむ一ファンに戻るだろう。就職試験では適性検査の準備を怠らず高得点を取り、3度の面接を突破してメディア業界への内定を得た。支配下選手登録や1軍のマウンドには届かなかったが、特別な時間を過ごした4年間を胸に歩むこれからの人生を応援していきたい。