【ボート】次世代のエンターテイナー・仲道大輔が業界を盛り上げる
「ボート記者コラム・仕事 賭け事 独り言」 寡黙にレースへ取り組む勝負師や、ド派手な勝ちっぷりでスタンドを沸かせる千両役者-。ボート界には個性豊かな選手がそろっているが、記者はどちらかといえば“クセが強い”選手の方に興味がそそられる。最近では、愛知の若き風雲児・仲道大輔(24)=愛知・127期・A1=の躍進ぶりに目が離せない。 20代のボートレーサーでは珍しく、バッチリ整えられたパンチパーマはインパクト抜群。開会式では多彩な芸風で会場を盛り上げるなど、陽気なキャラクターはボート界で特筆すべき存在だ。 レースではチルトを3にまではね上げる一撃必殺のスタイルが真骨頂。迫力満点の立ち回りで勝率を積み重ね、手腕に関しても着実にレベルアップ。愛知支部の次世代を担うホープとして頼もしい成長株と言えるだろう。 普段は住之江ボート担当のため、なかなか取材をする機会に恵まれなかったが、9月のプレミアムG1・ヤングダービー(桐生)でようやくレースの現場に立ち会えた。 ルックスはさながら漫画「ビー・バップ・ハイスクール」に登場しそうなヤンキースタイル。「この髪形にしてから人生が変わったので、ハゲるまでは続けたい」と語るように、パンチパーマはトレードマークとして世間に浸透。今回の開会式でも、多彩なパフォーマンスでファンから拍手喝采の大声援を受けるなど、仲道の人気の高さを目の当たりにした。 その半面、普段の素顔は勉強熱心で、取材も丁寧に応える24歳の好青年。そのギャップも選手やファンからも愛される要因と言えそうだ。 近況はF2と苦しい立場になったが、ヤングダービーの2日目3Rでは、大会の主役・関浩哉(群馬)を相手にイン逃げでG1初勝利。水神祭は、あらかじめ用意していた短ランのジャケットに着替え、赤パンツ姿で水面にドボン。選手仲間から爆笑をさらった。 ここまで派手な活躍を続けると、一歩間違えば慢心に陥りやすいが、その不安は一切ない。F2の逆境を乗り越え、「すごく壁が高かった分、めちゃくちゃ思い出になる1勝ですね」とじっくりと勝利の余韻を味わう姿は、今後のさらなる成長を予感させた。 ファンに対しても「すごくパワーをもらったというか、初日のセレモニーや土砂降りの中でも、頑張れよ、という声援がずっと残っていた」と感謝の思いを口にする。ボートレースは、ファンからの熱い声援があってこそ成り立つ世界。これからも、公営競技で娯楽の王道を突き進んでくれるだろう。 ボート界のエンターテイナーと言えば西山貴浩(福岡)が第一人者だが、チルト3のスペシャリスト・菅章哉(徳島)も芸達者として負けないレベル。今や仲道の多彩な才能は、西山や菅を脅かすまでの域になってきた。近い将来、大舞台でこのゴールデントリオのタッグを期待せずにはいられない。(関西ボート担当・保田叔久)