戒厳令が宣布されても「韓国すごい」「米国人や日本人より民度が高い」と誇る韓国人
軍人も証拠に「韓国すごいぞ!」
「韓国すごいぞ!」の証拠には市民だけでなく軍人も使われました。国会に突入した軍人が命令に反し、議員を追い出さなかったことを理由に「韓国民主主義の定着」を称える記事が登場しました。 筆者はソウル在住の元在日韓国人で、コリア・フォーカス編集長の徐台教(ソ・テギョ)氏。Yahoo! ニュース エキスパートに載せた「韓国軍や情報機関の‘抗命’、非常戒厳『迅速解除』に寄与か…浮かび上がる民主化の歴史」(12月6日、日本語)です。結論部分を引きます。 ・それ[非常戒厳]がわずか150分(解除要求案の可決まで。完全解除までは6時間)で潰えた背景には、軍や情報機関の「国民を守る判断」が存在したことは明らかだ。 ・その土台に韓国社会が民主主義を獲得する中で流れた市民の血の「記憶」や「記録」があるのではないか。それが軍内でも脈々と受け継がれてきたと考えるのは言い過ぎだろうか。 ・私が韓国人だからと韓国をことさらに美化する訳ではない。国家の秩序を考える場合、抗命を簡単に考える訳にもいかないだろう。だが、今回の「抗命」には、今の韓国を形作ってきた民主化の歴史が息づいているように思えた。 「命令無視」が部分的にあったのは事実ですが、45年ぶりに戒厳令が宣布され、完全武装した軍部隊がガラスを破って国会の建物に突入したのです。「抗命」だけをもって「韓国民主主義の定着」を誇るのはバランスを欠いた記事と言われても仕方ないでしょう。
「アフリカ並みの後進国」
――なぜ、「米国や日本より上」「韓国は進化した」という記事を韓国メディアは書くのでしょうか? 鈴置:戒厳令がショックだったかったからです。キム・ヨンス嶺南大教授は朝鮮日報への寄稿「【朝鮮コラム】帝王的大統領と87年体制の終焉」(12月11日、韓国語版)で「今回の事態で韓国民主主義の恥ずかしい素顔が露呈した」「大統領ひとりのむなしい賭博に『あっと言う間に軍部の反乱がのさばるアフリカ・南米の後進国』に転げ落ちた」と嘆きました。 「アフリカ並みの後進国」との表現は使わないまでも、ほぼすべての新聞がこのノリで書いています。韓国は1948年の建国以来、「先進国になる」のが夢でした。 2020年頃から韓国では「1人当たりGDPで日本を超えた」「民主主義の水準でも日本より高い」との言説が広がりました。世界も認める先進国になったと有頂天となったのです。それが突然、「アフリカ並み」に堕ちてしまったと、キム・ヨンス教授は以下のように書いてもいます。 ・1945年、韓国は世界最貧の弱小国だった。今は国力で世界で6位、軍事力の順位は5位だ。解放79年で先進国を超えて強大国の隊列にのぼった。 ・しかし、今回の事態で米フォーブス誌は「コリア・ディスカウントは正しく、日本の失われた30年の後を追う可能性が高い」と評価した。 今、韓国人が噛みしめる「恥ずかしさ」。それを癒すには「米国や日本よりも上だ」「韓国の民主主義は進化した」と言い合うしかないのです。もともと韓国人には自信が乏しかった。にわか仕立ての自信は剥げ易いのです。 敗戦で自信を失った日本人も、経済復興するうちに取り戻しましたが、韓国人ほど有頂天にならなかった。戦前から「世界の5大国」の一角を占めていましたので「元に戻った」に過ぎなかったからです。それに、いい気になって米国との戦争に突入し、墓穴を掘ったとの苦い共通認識もありました。 一方、韓国は千年以上にわたり、中国か日本の属国という地味な国でした。「強大国の隊列に加わった」だけで、周りが見えなくなってしまったのです。