《うつ病サイン》のウソ・ホント… 産業カウンセラーが解説 あまり知らない「双極性障害」との違いも
うつ病と双極性障害の症状の違いとしては、躁(そう)状態があるかどうか、となります。うつ病はうつ状態のみを発症するもので、単極性うつ病とも呼ばれます。一方、双極性障害はうつ状態を発症するときと躁状態を発症するときがあり、躁うつ病とも呼ばれます。 精神障害と聞くとうつ状態を想像される人が多く、双極性障害で躁状態にあると「元気なのでは」と誤った認識をされる人も少なくありません。しかし健康な人と比べて躁の状態とうつの状態との差が激しい場合は、普段が元気であっても双極性障害と診断される可能性があります。
うつ病や双極性障害を発症するきっかけとなったストレス要因がある場合は、それを取り除くことが大切です。休養に専念したり、環境を変えたりといったことをまず行います。そのうえで、うつ病や双極性障害の治療法として薬物治療や心理社会的治療などがあります。どの気分障害でも、どれか一つの治療法のみを採用するのではなく、症状の度合いやその人を取り巻く環境に応じて複数を組み合わせ、治療が行われます。 薬物治療とは、気分安定薬や抗精神病薬を使ってうつ状態や躁状態の発症を抑え予防する治療法です。薬物治療を行うことでうつ状態と躁状態の振れ幅を小さく抑え、日常生活に支障をきたすことがないようにしていきます。 心理社会的治療とは、自分自身の状況や症状を客観的に捉えコントロールしていけるようにする治療法です。具体的には自身の生活に関する記録を付けたり、物事を先入観なく肯定的に捉えることができるようトレーニングしたりといったことが挙げられます。
身近な人に気分障害の症状が見られたら
もし家族や友人、職場の仲間などで気分障害と思われる人がいたら、適切なアラートを上げることが大切です。あなたの気付きとアラートのおかげで救われる人がいるはずです。ただし、医師の診断なしにうつ病や双極性障害と決め付けたり、本人の了承なしに公共の場でそのことに触れることは望ましくなく、かえって症状を悪化させる危険もあるため絶対にやめましょう。 推奨される行動としては、次のようなことが挙げられます。 ・本人に余裕があれば、気遣いの言葉を掛けてみる、医療機関の受診を勧める ・上司や家族に本人の普段の様子を伝え、必要に応じて医療機関の受診を勧めてもらうようお願いする くれぐれも、本人のプライバシーを侵害したり、勝手に気分障害と判断したりすることのないよう気を付けましょう。
まっきー