心や記憶を失った人、性的暴行で出産の女性も シリア刑務所収容者の状況
(CNN) シリアのアサド政権下で大勢の市民らが収監されていた悪名高いサイドナヤ刑務所について、ボランティア組織「シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ)」は10日、収容者の中には記憶をなくした人や繰り返し性的暴行の被害に遭っていた人もいることを明らかにした。 ホワイトヘルメッツ幹部のファルーク・ハビブ氏は、刑務所に閉じ込めらていた人たちの状況についてCNNに語った。 そのうち、19歳の時から収監されていたという女性は、サイドナヤ刑務所で繰り返しレイプされ、3人の子どもを出産した。子どもたちは今に至るまで刑務所の塀の外を見たことがなかった。 収監されている間に「心を失った」人や、自分が誰だったかを忘れてしまった人、自分の名前や出身地が分からない人もいるという。 同刑務所では行方不明になっていた大勢の人が見つかるだろうという期待に反して、アサド政権が崩壊した時点で発見されたのは数千人にとどまった。残る収監者の多くは処刑されたり、集団で埋葬されたり、別の刑務所に移されたりしたとハビブ氏は話す。 地下に埋められた監房があるといううわさも飛び交い、ホワイトヘルメッツが捜索したものの、そうした監房は一つも見つからなかった。 現在はシリア全土で秘密刑務所を探しており、発見につながる情報には賞金を出すと呼びかけている。これまでに数千件の情報が寄せられた。 シリアでは少なくとも20万人が行方不明になっている。その大部分は、アサド政権や政権側の勢力によって拉致されたり拘束されたりした被害者だった。