マツダ社長が語る、ロータリーエンジンとワークスコンプリートカー復活の本音とは?
東京オートサロン2024の会場で、ロータリーエンジン開発チームの発足や「マツダスピリットレーシング」コンプリートカーのコンセプトカーが発表された。発表後にマツダ毛籠勝弘(もろまさひろ)社長と報道陣との一問一答の中で見えてきた、ロータリーエンジンとワークスコンプリートカー復活への想いとは? 【写真を見る】ロータリー搭載で市販化が期待される「アイコニックSP」※本文中に画像が表示されない場合はこちらをクリック REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、マツダ
ロータリーエンジン開発チームは30人規模でスタート
--2月1日にロータリーエンジン開発チームを発足させるとのことですが、将来どのような完成形を目指しているのでしょうか? 毛籠社長 ロータリーエンジン開発グループは2018年にいったん解散しましたが、このたび再結成することで、ロータリーエンジンの技術高めていこうというのが趣旨ですね。私たちのエンジン開発はエンジン形式を問わず同じ考え方で、燃焼効率を3ステップで改善してきましたので、マツダは小さな会社ですが、ガソリンもディーゼルも同じように開発できるのが特徴です。 スカイアクティブエンジン開発の時にロータリーエンジンのエンジニアもスカイアクティブの開発に注力してくれたので、そこで他流試合というべきか、ピストンエンジンの開発や、モデルベース開発、世界最高峰の燃焼技術解析を学んでくれたメンバーがまた、ロータリーエンジンにフォーカスして、そのエンジンの燃焼やエミッションの開発に携わっていくことを趣旨にしています。 エンジンにはいろんなエンジニアが必要ですが、ロータリーエンジンのコアとなる部分の開発には30人くらいの陣容で再スタートを切ることを考えています。 2月1日の辞令はまだ発表されていませんので(笑)、私が口を滑らせて言ってしまったので、社内に動揺が広がるかもしれませんが、2月1日付で発足しますので、メンバーの個人名はご容赦下さい。会社としてそういう決断をしていると捉えていただければと思います。
ロータリーエンジンの“雑食性”に期待。時代が追いついてきた
--このタイミングでロータリーエンジン開発チームを再結集して復活させる狙いと期待することは? 毛籠社長 カーボンニュートラルを進めていくうえでマルチソリューション、多様な技術、選択の自由が重要だと考えており、その一つの大きな資産はやはり内燃機関だと思っています。特に電動化と取り合わせると、ロータリーエンジンは非常に相性が良い。 また1991年のル・マン24時間レースにマツダはロータリーエンジン搭載車で優勝しましたが、その頃から水素を含めた開発をしてきています。水素ロータリーをジェネレーターとして駆動する車両の限定販売をしたこともあります。 ですからロータリーエンジンには、以前から環境エンジンとしての可能性を非常に期待させる特性があったんですね。当時はまだまだ時期尚早でしたが、今はそういった時代が到来しつつあると捉えており、そのコンパクトさや雑食性、あるいは電気をリッチにした時の相性の良さを、社会に貢献できる技術として育成していきたいと考えていました。 が、「アイコニックSP」に極めて大きな反響をいただき、熱烈な声をいただいたので、我々も本当に感激して、なんとか実現できるようにスタートを切ろうと。これはまだまだ、解決しなければならない技術課題のハードルが非常に高いんですが、マツダの得意な「飽くなき挑戦」のスピリットで立ち向かっていこうと、社内に奮起してもらおうと思い、今日こういう発表につなげました。