大切な思い出をいつまでも手元に──染め直しできるウエディングドレス「SaboraMi」
ードレスには、京都の丹後や山形県米沢のシルクなどが使われているそうですね。素材やデザインへのこだわりを教えてください。 一般的なアパレルに使われているシルク100%の生地には、ドレスが作れるほどの厚みはありません。どの商社でも見つけることができず、在庫を抱えているところもないので、いろいろな産地に足を運んですべてオリジナルで作ってもらっています。 丹後のシルクは、私の妹の結婚式で着物を着たときに、“この素材いいな”と思ったのがきっかけで取り入れました。シンプルな生地に見えて複雑な撚糸の技術により織られたちりめん素材で、さらっとしていて上品な質感があるんです。
また、黒染めをするとドレスの光沢感が落ち着き、パーティードレスとしても、日常的に使うワンピースとしても着用しやすくなります。 上質な着物は代々受け継がれて、繰り返し使っていきますよね。“素晴らしいものを継承する”というフィロソフィーにも深く共感しているので、「SaboraMi」では長く着られる質のいい素材にこだわって選んでいます。 デザインは私の強みを生かして、“結婚式ではエレガントに、結婚式が終わった後はドレッシーにもカジュアルにも着ることができるドレス”を考えています。 MDを組みつつラフデザインを起こしていき、生地を見たうえでより具体的なデザインをイメージしていきます。きちんとデザインした後に、「このデザインならこんな生地が合いそうだな」と、また違ったアイデアが浮かぶこともありますね。 考える順番は、デザインが先、生地が先とは決めておらず、そのときどきでさまざまな角度から考えて、最終的なデザインを決めています。
ー実際にドレスを着たお客様の反応はいかがですか。 私は服の力を信じていて、“着たらうれしくて泣いてしまうような服作り”を目指しています。 実際に、お客様の中に「SaboraMi」のドレスを着て泣いてくださった方がいました。その方は、この年齢でウエディングドレスを着てもいいのか、と躊躇されていたそうなのですが、「このドレスを着たことで自信が出た」と言ってくださって……本当にうれしかったです。 お客様の中には、異なるデザインのものを2着購入される方、海外に持っていくために購入される方、大事なコンサートに着ていきたいなど、結婚式以外の場面で着るために購入される方もいます。また、黒染めしたドレスを弔いの日(お葬式)に着るという方もいらっしゃいました。