酷暑でもエアコンガンガンは燃費が悪化するからできない! 過酷な現実に晒されるトラックドライバーは扇風機が必須アイテムだった
広い車内を冷やすのに適している
ここ数年、地球温暖化の影響を受けて「猛暑」「酷暑」の夏が当たり前になってきた。場所によっては外気温が40℃を超えるようなところもあり、じっとしていても汗が滝のように流れ落ちてくる。炎天下における不要不急の外出を控えるのはもちろんのこと、夜間の室内であっても、エアコンを適切に使用しなければ、熱中症で倒れかねない状況なのだ。 【画像】旧車に乗るオーナーによる涙ぐましい努力 クルマのなかはさらに過酷である。JAFの実験によると、外気温35℃の炎天下に放置されていたクルマは、1時間ほどで車内温度が50℃近くになり、ダッシュボードに至っては70℃を超える。このような状態だと、走行中にはクーラーをガンガンにつけなければ命にかかわりかねない。 これはトラックでも同様なのであるが、そう簡単にはいかない事情がある。それは、「燃費」にかかわる問題だ。クルマのエアコンはエンジンから動力を得ているため、稼働させるとエンジンに負荷がかかって燃費が悪化する。車両の種類や使用条件にもよるが、その低下率は約12%程度にも及ぶという。トラック事業者にとって、これは見過ごせない数値なのだ。 そこで、冷房効率を上げるためにクルマ用(トラック用)扇風機が重宝されるようになったのである。トラックのキャビン内は意外に広いので、冷たい風を隅々にまで届かせるには扇風機が最適なのだ。また、冷風をドライバーに送ることで体感温度も下げることができる。ドライバーが涼しく感じたら、一時的にクーラーを切ることで燃費改善にもつながる。 よく、家庭用クーラーでは短い時間ならいちいち停止するより、つけっぱなしの方が節電になるといわれるが、システムが違うクルマ用のクーラーは切れば確実に燃費が向上するのである。
アシストグリップやバイザーなどに挟んで使用
車両から電源を取るトラック用扇風機の多くは、シガーライターソケットを使用する。ゆえに、24V車の場合はそれに対応した機種か、そうでない場合はDC-DCコンバータで12Vに降圧する必要がある。このタイプは比較的ハイパワーで、走行中なら使用を続けることが可能だ。同じように車両から電源を取るタイプでも、USB方式なら車両以外で使うことができるというメリットがある。 停車中でもトラックは大容量の車載用バッテリーを積んでいるので、消費電力のそれほど大きくない扇風機は長い時間使用することができる。しかし、バッテリー上がりが心配なら充電式(リチウムイオン蓄電池などを搭載)が便利だ。乾電池式のタイプもあるが、ややパワー不足を感じるかもしれない。 本体の取り付けはクリップ式が多く、キャビン内のアシストグリップやバイザーなどに挟んで使用する。置型やヘッドレスト取り付け型などもあり、使用方法や設置場所に応じて選択するドライバーが多い。 首振り機能がついているタイプは、キャビン内に冷気を効率的に循環させるという点で便利。風が体にあたり続けることが嫌なドライバーも、このタイプを愛用しているようだ。首を振らなくても、ファンがふたつあるツイン式なら2方向に風を送ることができる。 扇風機とは少し異なるが、ドアウインドウに取り付ける換気扇も人気だ。これは窓を数cmほど開けて取り付け、キャビン内の熱気を排出するものだ。駐車中などに使用すれば、車内温度の上昇を抑えることができる。家庭でもコロナ禍以降、原油高も相まって換気扇やサーキュレーターが見直されている。扇風機を賢く使って、エコなドライブにつなげたいものだ。
トラック魂編集部