ギャル芸人・エルフ荒川「空手が学校以外の自分の居場所になっていた」救われた幼少期
「一つの場所に依存しないのは大事」学校以外の居場所が支えに
――自分の居場所がないという子どもがたくさんいるというニュースも聞きますが、荒川さん自身はどう感じていますか。 エルフ荒川: 子どもって、自分で働ける年齢になるまでは家の中しか逃げ場所がないと思うんです。子どもたちにとっては両親が全てだし、我慢するしかないから「助けて」というSOSがなかなか出せないんじゃないかな。 私は「昔の辛いことがあったからこそ今がある」という言葉はあまり好きじゃないんです。私が子どもたちの逃げ場所を作ってあげられるわけでもないのに、こういうことを言うのは間違っているかもしれないけど、個人的には「辛いことがあるなら逃げてほしい」と思っています。 ――荒川さんは、子どもの頃、家庭以外の居場所はありましたか? エルフ荒川: 小1から中3まで空手をやっていました。最初は友達数人に誘われて始めたんですけど、いつの間にか他の子はみんな辞めていて、気づいたら私だけ黒帯になるくらい打ち込んでいました。好きなメイクは、お父さんが厳しかったのと空手をやっていたので、もちろんできてなかったんですけど。休みの日に100均に買いに行ってちょっとメイクするといった感じでした。 学校の友達グループ内で無視される周期みたいなものが回ってきても、「別にいいよ、私には空手の友達もいるし」と思えたんです。今考えると「なんであんなに気が強かったんやろ」と思うんですけど、一つの場所に依存しないのは大事だなと思います。 真面目に頑張ろうとしてしまう子ほど、「居場所は学校にしかないのだから頑張ろう」となってしまうと思います。それだと、学校がうまくいかなくなった時にしんどくなってしまうんじゃないかな。私の場合は、空手という学校以外の居場所があると思えたことで少し心に余裕が持てたのかもしれないです。 ――今の荒川さんは、自分の居場所と呼べる場所はありますか? エルフ荒川: 3年前くらいに上京してからは、「THE Wの決勝に進んで、芸人として結果を出して認められないとダメだ」くらいに思っていました。でも最近は、どんな場所に行っても自分自身のままでいられるようになったのかもしれません。そうなれたのは、蛙亭のイワクラさんや芸人の先輩と出会ったことが大きかったです。 10代の頃は「適当なこと言っていればごまかせるんじゃないか」と、ついうそをついてしまう部分があったんです。でも、イワクラさんに会った時「多分この人には自分のうそが全部バレるな」と思いました。芸人の先輩方は人間観察のプロなので、私みたいな小娘のくだらないうそなんかすぐ見抜いちゃうんですよね。だったら、うそをついたりしないで、間違えてもいいから人としてちゃんと生きてみたいと思うようになりました。間違えたら謝る、分からないことがあったら「分かりません」と自分の気持ちをちゃんと伝えるようにまっすぐ向き合い始めたら、ありのままでいられるようになったのかもしれません。 ――荒川さんにとって、イワクラさんはどんな存在なんですか。 エルフ荒川: 『鬼滅の刃』に登場する「柱」と呼ばれる強い剣士みたいに、導いてくれる存在です。「お笑いが好きだ」という気持ちを大事にして頑張っていたら、男女関係なく芸人みんなと仲良くなれるんだと、イワクラさんから教えてもらったことですごく楽しくなりました。10年くらい前と比べて芸能界そのものが変わっている影響があるかもしれないですけど、自分自身が変わったことがすごく大きいと思います。