ジョコビッチを待ち受ける“第2の悪夢”…5月の全仏OPアウトの可能性に年間約34億円もあるスポンサー撤退危機?!
二転、三転の末に豪州から強制国外退去を命じられ4連覇のかかっていたテニスの全豪オープンを欠場することになったノバク・ジョコビッチ(34、セルビア)は17日、メルボルン発ドバイ経由で、母国のセルビア・ベオグラードに到着した。豪州政府と連邦裁判所が下した措置に抗議するファンがジョコビッチを激励するために出迎えたが、騒動はおさまらず、さらなる“第2の悪夢”に襲われる可能性が出てきた。
仏スポーツ相がアスリートにもワクチンパスを免除しない方針を発表
ジョコビッチが次に狙う大会は、5月22日からフランス・パリのローランギャロスで開催される全仏だが、フランスのロクサナ・マラシネアヌ・スポーツ相が17日、「まもなく公布される法律で16歳以上に適用されるワクチンパスはアスリートも免除されない」との厳格な政府の方針を発表した。 この動きを受けて英ガーディアンやデイリーメール、ニューヨークポストなどの複数の海外メディアが揃って「ワクチンを接種しなければ、ジョコビッチが全仏に出場できない可能性が出てきた」と報じた。 ガーディアンによると、マラシネアヌ・スポーツ相は、当初、「大会で外部と隔離するバブル方式が採用されればアスリートはワクチン接種の義務から免除されるかもしれない」との方針を示し、ワクチン未接種により豪州の入国ビザを取り消されたジョコビッチも、全仏OPには出場可能だと見られていた。 だが、新型コロナのオミクロン株の感染拡大を受けて、フランスの国民議会(下院)が、ワクチン未接種者をレストラン、スポーツアリーナやその他の施設から締め出す“ワクチンパス”の導入を215対58の投票で決定。この日、マラシネアヌ・スポーツ相は、ツイッターに「法律が公布されるとすぐに、すべての観客、開業医、フランス人または、外国人の専門家は、ワクチンパスを持って対象となっている公共の建物(スタジアム、劇場、またはラウンジ)に入ることが義務付けられます」と書き込んだ。
年間約34億円のスポンサー料はどうなる?
ジョコビッチは、全仏OPのディフェンディング王者で、4大大会21度Vの偉業達成がかかっているが、フランスの国会議員のスタニスラス・ゲリーニ氏が、「ジョコビッチの(豪州での)振る舞いは無責任だった。フランスで行われるすべての大きなイベントでワクチンパスを採用する。私たちが、彼ら(ジョコビッチ)に免除を与えて、市民に努力を求めてルールを尊重するようにお願いして誰が納得するでしょうか?」とRTLのインタビューに答えるなど、すでに“逆風”がフランスでも吹いている。 ニューヨークポスト紙も「新たな締め出しを受けるかもしれない」「彼は全仏OPでも2021年の優勝を再現することができなくなる可能性がある」などと報じた。 5月の時点で新型コロナの感染が収束し、政府がこの方針を変更しない限り、ジョコビッチがワクチン未接種を貫くのであれば、全仏OP出場も難しくなるのかもしれない。 またジョコビッチにとって切実な問題も発生した。彼の経済活動を支えているスポンサー離れの危険性だ。米CNNなどが伝えたもので、ファッションなどを扱うメディアのWWDは「ジョコビッチの強制送還でスポンサー維持も綱渡り」との見出しを取って報じた。 同メディアによると、現在、ジョコビッチはファッションブランドのラコステ、日本のスポーツメーカーのアシックス、スイスの高級腕時計メーカーのウブロ、プライベートジェット機のネットジェッツ、フランスの自動車メーカーのプジョー、ラケットメーカーのヘッドなどが主要スポンサーとなっており、ラコステのスポークスマンは17日、「できるだけ早くジョコビッチ選手と連絡を取り、豪州で起きた今回の出来事について精査する」という声明を発表した。 CNNは「ラコステはジョコビッチに説明を求めている」と伝えた。 ラコステは、日本のアパレルブランドのユニクロに代わり2017年にジョコビッチと初めて契約を結び、昨夏にオンコートアパレルスポンサー契約を2025年まで延長した。ラコステのスポークスマンは、国外退去となったことが同社とのスポンサー契約に違反する可能性があるかどうかの質問には答えなかったという。 またCNNによると、自動車メーカーのプジョーは、この日、メディアからのコメント要請を拒否。ウブロやアシックスもCNNのコメント要請にすぐに応じなかったという。 スポンサーからすればブランドイメージが傷つけられることになれば、ジョコビッチにお金を出す意味はなくなる。 例年長者番付を発表しているフォーブス誌によるとジョコビッチは、1年で約3000万ドル(約34億4000万円)のスポンサー契約を持ち、2021年には世界で46番目の高額所得者だった。 今回の騒動で、様々な過去の疑惑まで浮き彫りにされたジョコビッチは、全豪OP欠場だけにとどまらぬ大きな代償を負うことになるのかもしれない。