「名前だけ並べたらロマン」サッカー日本代表、久保建英は伊東純也と三笘薫との共演に何を意識する? 「うーん…」【コラム】
サッカー日本代表における“七不思議”がある。久保建英、三笘薫、伊東純也の3人が一緒にピッチに立ったのは、森保政権になってからわずか27分しかない。ファンの誰もが見たいと思うこの夢の共存は、今回のアジア最終予選で実現するのか。その期待を感じ取っている久保はユーモア溢れるコメントを残してくれた。(取材・文:藤江直人) 【画像】サッカー日本代表、中国戦の予想フォーメーション
⚫️ピッチ上での共存時間はわずか27分
船出から6年になる森保ジャパンの歴史で“七不思議”をあげるとすれば、間違いなくランクインするものがある。7320分のうちのわずか27分。割合にして約0.37パーセントという極端に低い数字だ。 これが何を示しているのか。実は日本代表のストロングポイントになって久しい左の三笘薫、右の伊東純也の両ウイングと、攻撃的なポジションのすべてでプレーできる久保建英がピッチ上で共存した時間だ。 これまで国際Aマッチ81試合、延長戦も含めるとトータルで7320分を戦ってきた森保ジャパンで、3人がそろって先発したケースは一度もない。2022年3月のベトナム代表戦の後半開始から16分間、同年6月のガーナ代表戦の69分以降の11分間と、合わせて27分にわたってトリオでプレーしただけだ。 2026年の北中米ワールドカップ(W杯)出場をかけた、5日の中国代表とのアジア最終予選初戦を翌日に控え、試合会場の埼玉スタジアム2002で行われた公式練習後の取材対応エリア。2年以上も遠ざかっている三笘と伊東との共演が実現したときに、もっとも意識するのは何か、と問われた久保が思わず苦笑いを浮かべた。 「うーん、何て言うんでしょうね。ロマン…名前だけを並べたらロマンがあるかもしれないけど、それ相応のリスクもあるわけで、それ(起用)を決めるのは僕でも(メディアの)みなさんでもなく監督なので」
⚫️日本だけでなく世界をも驚かせたレフティのA代表デビュー
最初にA代表デビューしたのは伊東だった。ハリルジャパン時代の2017年12月に開催されたEAFF E-1サッカー選手権大会。当時柏レイソル所属の伊東は北朝鮮、中国、韓国各代表戦に出場するもその後は定着できず、ロシアW杯後の2018年9月に産声をあげた第1次森保ジャパンから常連になった。 2019年6月のエルサルバドル代表との国際親善試合では、FC東京で大ブレークを果たした、18歳になったばかりの久保がデビュー。直後には世界的なビッグクラブ、レアル・マドリードへ移籍し、日本だけでなく世界をも驚かせたレフティだが、代表ではなかなかプレー時間をえられない状態が続いた。 筑波大学から2020シーズンに加入した川崎フロンターレで、13ゴール12アシストとルーキー離れした大活躍を演じた三笘のA代表デビューは、久保と共闘した東京オリンピック(五輪)を4位で終えた後の2021年11月。敵地マスカットで行われた、オマーン代表とのカタールW杯・アジア最終予選第6戦だった。 当時はブライトンからベルギーのユニオン・サン=ジロワーズへ期限付き移籍していた三笘は、後半開始から左ウイングで途中出場。0-0の展開が続いていた試合の様相を変え、81分には左サイドから絶妙のクロスを供給して、ベルギーのヘンクに移籍して4シーズン目を迎えていた伊東の決勝ゴールをアシストした。 同年9月のアジア最終予選初戦で敗れたオマーンに借りを返した一戦を境に、三笘は一気にスーパーサブの座をゲット。0-0で迎えた84分から途中出場した2022年3月のオーストラリア代表戦では、89分、94分と連続ゴールを決めて、日本を7大会連続7度目のワールドカップ出場に導いた。 一方の伊東もオマーン戦を含めて、アジア最終予選では2016年の原口元気と並ぶ歴代最長の4試合連続ゴールをマーク。サウジアラビア代表との第3戦でも敗れるなど、序盤戦で大きく出遅れ、一時はカタール大会出場が危ぶまれた森保ジャパンを鮮やかなV字回復に導く原動力になった。