「痔」の種類と治療法を医師が解説! 知っておきたい基礎知識と注意点もご紹介
痔をセルフケアするには? 知っておきたい基礎知識
編集部: 痔を改善するには、生活でどんなことに気をつければいいのでしょうか? 川﨑先生: まずは、便秘や下痢を起こさないようにすることが重要です。「肉食に偏らない」「水分をしっかりとる」といったことに気をつけるとともに、発酵食品やオリゴ糖、食物繊維などを積極的に摂取して、腸内環境の改善を意識しましょう。 編集部: そのほかには注意点がありますか? 川﨑先生: 適度な運動も大切です。また、ストレスが溜まると自律神経が乱れ、腸の働きが悪くなるので、ストレスを溜めないことや、きちんと睡眠をとることも心がけましょう。それから、「同じ姿勢を続けない」「トイレでは長時間強くいきまない」なども注意してみてください。 編集部: トイレで長くいきむのはダメなのですね。 川﨑先生: はい。反対に、どれだけリラックスしていても「トイレに長く座っていると、痔核の発生率が高くなる」という報告もあります。中にはスマートフォンを見ながらトイレに座っている人もいるかもしれませんが、痔のリスクを高めるので気をつけましょう。 編集部: どのような状態になったら、医療機関を受診した方がいいのでしょうか? 川﨑先生: 例えば、市販薬を使用しても痛みがおさまらないときや、痔を指で押してもなかなか戻らないときには、早めに医師の診察を受けましょう。また、痔ろうから膿が出てきた場合には周辺に範囲が広がることもあるので、速やかに受診することをおすすめします。 編集部: そのほかに、知っておきたい危険なサインはありますか? 川﨑先生: 出血がみられた場合、「痔のせい」と放置してしまう人もいますが、じつは痔ではなく大腸がんによる可能性もあります。そのため、出血が見られたら早めに医療機関を受診しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 川﨑先生: 肛門の病気は、「恥ずかしいから」といって受診を渋る人も少なくありません。しかし、大腸がんが隠れている可能性もありますし、クローン病や潰瘍性大腸炎を発症している場合もあります。 命に関わる疾患が潜んでいるリスクもあるため、「いつもと違う」と感じる症状がみられた場合には、早めに専門医による診察を受けましょう。