中2で不登校→17年間“引きこもり生活”→31歳で精神科病院に入院…「死ぬ一歩手前」まで追い詰められた50歳男性が語る、幼少期の複雑な家庭環境
でも、私は弟と違って公文に行ってないし、学習教材も買い与えられていないから、勉強する習慣もついてなくて。成績が下がるにつれて不安になっていったし、「自分はダメな人間なんだ」という思いも強くなってしまって。 それで、ある日突然、もう学校に行きたくない、と思ってしまったんです。
学校に行けない自分を「落ちこぼれ」「恥ずかしい」と思っていた
――どこかのタイミングで「学校に行こう」と思うことは。 糸井 その気力はなかったです。学校に行けなくなった自分を「落ちこぼれ」「恥ずかしい」と思っていたし、周りからも「あの子は学校に来てない、変わった子」という目で見られると思って。久しぶりに学校に行ったら、同級生からいじめられるかもしれない、という怖さも感じていました。 いじめられないとしても、「無視をされるんじゃないか」という被害妄想があって。親しい友達がいなかったので、劣等感や疎外感を抱きながら過ごすことになるんじゃないかと。 ――一度行かなくなったら、行くのが怖くなりますよね。 糸井 しばらく行かないと、さらに学力もついていけなくなってしまう。 最初は学校の先生や同級生も通信簿を渡しに家に来てくれたり、声を掛けに来てくれたりしたんですけど、それが逆に、「自分は勉強もできない、学校も行けないダメな子だから、憐れみを受けている」という感情を引き起こしてしまって。 ――ネガティブな感情が湧き上がってしまったと。 糸井 私の存在は忘れてほしい、と思っていました。そうすれば、自分が勉強ができないことも忘れてもらえるし、「いない存在」になれば、学校に行かなくていい理由になると思ったんです。 撮影=山元茂樹/文藝春秋 髪は膝下まで伸び、歯はボロボロに欠け、身体はガリガリに…14歳から17年間“引きこもり”だった男性(50)が明かす、壮絶な引きこもり生活 へ続く
「文春オンライン」編集部
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