中2で不登校→17年間“引きこもり生活”→31歳で精神科病院に入院…「死ぬ一歩手前」まで追い詰められた50歳男性が語る、幼少期の複雑な家庭環境
――お母さんは2人の言い合いを仲裁しなかった? 糸井 母がどちらかの味方をすると、どちらかが孤立してしまうから、どっちつかずの態度を取っていて。板挟みになっている状態でした。 ――できることなら、家族で喧嘩をしてほしくないですよね。 糸井 父はお酒を飲んでいないときは落ち着いていて、一緒に時代劇やドリフターズのコント番組を見たり、遊んでくれたりもしたんです。でも、祖母と言い合いをしているときは、酔っ払って暴れまわる。 そのギャップにショックを受けたし、自分の中でも混乱してしまって。小学校5年生の頃から、次第に父と口をきかなくなりました。
新興宗教に入信した祖母から“しつけ”を受け…
――おばあさんはどんな存在でしたか。 糸井 真面目な人で、ちょっと怖い存在でした。両親が仕事をしていたから、子育て役を祖母が担っていた部分もあって。「私が孫たちをしつけないといけない」という責任感もあったと思います。 それに、新興宗教に入信していたから、家族に入信教育をしないといけない、というのもあったみたいで。 ――新興宗教家庭でもあったのですね。 糸井 祖母が、戦後の心理的な不安から新興宗教に入信したんです。母もその宗教に入信していて、宗教団体の役員のツテで父と結婚したそうで。 ――それでは、糸井さん自身はいわゆる宗教3世。 糸井 そうなります。月に1回、教会に行ったり、家の中でもみんなで正座してお祈りしたり、信者のために作られた本の内容を唱えさせられたりして、入信教育を受けました。 そこは「宗教で平和にする」「幸せにする」と謳っていたのに、実際は家庭不和だったから、今思うと納得いかないですね(笑)。
火のついた線香やお灸を身体に当てられることもあった
――その宗教には「戒律」もあったのでしょうか。 糸井 ちゃんと正座してお祈りしなかったり、兄弟げんかをしたりすると、祖母と母に身体を押さえつけられて、火のついた線香やお灸を身体に当てられることはありました。 「ごめんなさい」と言って泣き喚いても許してもらえず、最終的には、納屋に入れられて、外からカギをかけられて閉じ込められるんです。泣き止むまで出られなくて、祖母と母の気が済んだら出してもらえるみたいな。 ただ、当時は「戒律」という言葉を知りませんでしたし、そういう認識もありませんでした。祖母の“昔の人”ならではのしつけとしか感じてなくて。
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