いまチェックすべき、個性あふれる東京の都市型蒸留所5選
世界的なブームが続くクラフトジン。2018年から開催される「ジンフェスティバル東京」の主宰者であり、日本のジンカルチャーを牽引してきたトーキョーファミリーレストランの三浦武明は、クラフトジンを「ジュニパーベリーを季語とした俳句のようなもの」と表現する。EUではベーススピリッツについての規定こそあるものの、風味づけにジュニパーベリーを使うこと以外に大きな縛りがなく、つくり手たちが土地土地のボタニカル(草根木皮)を使って自由に表現するフレーバーが、クラフトジンの楽しさだ。 【画像多数】都市型蒸留所5選の画像をすべて見る 日本では15年に、初のジン専門蒸留所が京都で誕生。近年は焼酎蔵や大手メーカーなどのクラフトジン市場への参入も相次ぐが、いまチェックすべきは東京を中心に急増する都市型蒸留所だ。 ジンが蒸留される様子を街中で見ることができる上、カルチャーの中心ゆえのさまざまなコラボレーションなども、東京の都市型蒸留所の魅力。東京発のクラフトジンに、ぜひご注目を。
深川蒸留所【深川】
古さと新しさが混在する、深川の地に誕生した新名所 2023年春に開業した深川蒸留所。その最たる特徴が、薩摩の焼酎づくりなどに使われていた古式蒸留器を現代風に蘇らせた、ニューツブロ蒸留器だ。開発者の関谷幸樹は、1933年創業の理化学ガラス問屋の三代目。「蒸留文化を通じて理化学ガラス職人の仕事を広げたい」―そんな想いを抱えていた関谷が、ジンに特化したバーを営む“深川仲間”の小林幸太と出会い、オリジナル蒸留器の開発と同地での蒸留所開設計画をスタートさせた。 “木場”として栄えた深川の特色を表現した定番をはじめ、個性的な新作ジンも次々に発表。オープンデーでは唯一無二の蒸留器を眺めながら、ジンの飲み比べが楽しめる。
東京八王子蒸溜所【八王子】
クラシックなスタイルで、八王子から世界を目指す 樹脂製品を製造する大信工業三代目の中澤眞太郎が、2021年に開設した東京八王子蒸溜所。中澤は、“飲む香水”と称されるパリ産のジンに出合ってジンの魅力に開眼。その後、シカゴで最新鋭の機器での蒸溜を学び、帰国後に会社の敷地内で蒸溜所を立ち上げた。「自分が楽器を弾くこともあり、基礎を大切にしようと思った」―そう話す中澤が目指したのは、ジュニパーの風味が効いた伝統的なドライジン。EU基準を満たすスピリッツや王道のボタニカルでつくる「トーキョーハチオウジン」は、いまやホテルバーなどにも置かれ、世界市場にも展開されている。地元の酒好きから酒のプロまでを魅了する、八王子が誇るご当地クラフトジンだ。