いまチェックすべき、個性あふれる東京の都市型蒸留所5選
虎ノ門蒸留所【虎ノ門】
東京のローカルを体現する、オフィス街の小さな蒸留所 2020年に開業した虎ノ門ビジネスタワーの名店街、虎ノ門横丁内にある虎ノ門蒸留所。酒食堂(居酒屋バー)併設の小さな蒸留所が掲げるコンセプトは“東京ローカルスピリッツ”。東京島嶼部の島焼酎をベースに、東京を中心とする日本各地のボタニカルを使い、東京出身の蒸留家である一場鉄平が、繊細な感性で一つひとつのジンを仕上げていく。定番品のほか、年間で十数種類がリリースされるシーズナルジンは、たとえば金木犀や月桃など、ボタニカルの香味がストレートに感じられ、ついいろいろと飲み比べてみたくなる。新たな日常酒としてのクラフトジンの楽しみ方を、東京に集う人々に広げるオフィス街の蒸留所だ。
ブルーラビットディスティラリー【田園調布】
DIYで生み出された、驚きのクオリティ スコットランド出身のマーク・ローレンス・スミスが約9坪の建物を改装し、2022年末に開いたブルーラビットディスティラリー。「設備は海外から輸入し、電気工事以外はすべてDIY。ホームセンターに通いながら2年がかりで完成させました」とスミスが話すラボのような蒸留所では、オランダ製の極小蒸留器などを使い、ジンやウオツカ、ラムまでもがつくられる。 英国と日本へのリスペクトから、英国産のヘザーの花や、柚子や煎茶といった和のボタニカルが使われるジンなど、ショップではリリースされる全商品の試飲・購入が可能。家族経営のアットホームな雰囲気も魅力的な、驚きと楽しみに満ちた住宅街の小さな蒸留所だ。
東京リバーサイド蒸溜所【蔵前】
蔵前から世界に発信される、新時代のジンカルチャー 廃棄予定の酒粕などをリユースし、新時代のジンを生産する蒸溜ベンチャーであるエシカル・スピリッツが、2021年に開いた世界初の再生型蒸溜所。業界内外で注目される若手蒸溜家・山口歩夢が、「家庭でもおいしく飲めるジン」をテーマに開発したジンシリーズ「ラスト」は、全国の百貨店やスーパーでも人気。コロナ禍で余ったビールやドーナツのロス生地、JALのラウンジで出たコーヒー粉など、エシカル素材を魅惑的なジンに仕立てるコラボも積極的に行う。 古いビルをリノベーションした蒸溜所にはショップやバーも併設。ジンを使ったカクテルと料理とのペアリングや限定ジンなども楽しめる、酒好きを魅了するスポットとなっている。
写真:榊 水麗、澤木亮平、齋藤誠一 文:西田嘉孝