事業承継の大問題…争族防止の切札「家族会議」を成功させる実践的ノウハウ【事業承継のプロが解説】
家族会議の基本ルール
家族会議は、ときに感情的になり、他の意見を遮るようなことも起きるリスクの高い会議です。そのため、ルール(約束事)を設定し、あらかじめ参加者で確認しておきます。 たとえば、発言者の話は最後まで聞き、受け止める、冷静に話し感情的にならない、話がまとまらないときは「円滑な事業承継と今後の安定的な経営の確立」という会議目的に立ち戻るといった点などを確認し、出席者全員が安心して話せる場をつくります。 家族会議の重要性を理解したうえで実施したにもかかわらず、「考えについて理解してもらえなかった」「税金面、具体的な事業承継の進め方など、その場で質問に答えられないことも多々あった」「感情的なやり取りとなり、冷静に話をすることができなくなった」「何度か家族会議を開いているが、結論が出ない」といった声を聞きます。 家族会議は運営が難しいものです。進め方を失敗すれば、家族の同意を得られず、事業承継が暗礁に乗り上げてしまうこともあります。冷静な議論と意見交換を促進することが重要です。 家族会議では、異なる意見や懸念を尊重しながら最良の結論を導かなければなりません。また、事業承継は法務、税務、財務など専門的な知識が必要となり、家族会議の場で専門的な観点からの回答も求められます。 先に事業承継士などの専門家を交えることを提案しましたが、家族だけで行うことに不安がある場合は、事業承継に関する専門知識があり、かつ家族会議運営のノウハウをもっている第三者に同席してもらい、進行してもらうことをおすすめします。 専門家が、「なぜそういうことが必要になるのか」を伝えることで、家族が冷静に判断できるようにもなります。「家族同士では直接聞きづらいこと」も第三者の専門家なら聞けますし、しっかり結論を出すために、家族の対話を促進する事業承継士などファシリテーターの存在が必要です。 中谷 健太 株式会社新経営サービス 経営支援部マネージャー 事業承継士/中小企業診断士/経営革新等認定支援機関
中谷 健太
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