事業承継の大問題…争族防止の切札「家族会議」を成功させる実践的ノウハウ【事業承継のプロが解説】
家族会議の上手な進め方
家族会議のおもな目的は次の3つです。 (1)正式な後継者の指名と、そこから事業承継の加速をめざすこと。 (2)社長交代の混乱を最小限に抑え、事業の安定経営をめざすこと(将来のリスクヘッジ)。 (3)将来のリスクヘッジに向けて合意文書を作成し承認(記名捺印)を得ること。 とくに、(3)の内容や決定事項は口頭でのやり取りだけでなく、あとで言った言わないの話にならないように、議論や決定事項は文書化します。合意事項を明確にし、後継者や関係者が納得したうえで進めることが重要です。 家族会議は、株主総会に代わる一族の重大事項を決定する機関であり、会社の今後を決める重要な儀式です。また、後継者に事業承継の意識づくりを行う場です。そういう意味から、場所として会社の会議室を活用したり、式次第と進行役、資料も準備し、ややフォーマルな場にすることも重要です。 以下は、家族会議の式次第の一例です。参考にしてください。 家族会議の式次第(例) 1. 開会宣言 2. 家族会議の趣旨説明 3. 家族会議のルール説明 4. 会社と株式・個人資産の現状報告 5. 議案提出 第1号議案:後継者の指名 第2号議案:株式の贈与と買取り 第3号議案:法定遺留分の除外の同意書作成(後継者以外の相続人に対する財産平衡の措置についても) 第4号議案:後継者の肩書、権限、責任分担、報酬 第5号議案:代表交代の時期、スケジュールについて(事業承継計画書の説明) 6. 採決 7. 決意表明 8. 書面作成 9. 閉会の辞 家族会議を実施するに当たっては、その場の会議ではじめて話をして決めていくよりは、会議が始まるまでにじっくりと考えを整理し、それを事業承継計画書に落とし込み、また必要書類などを準備しておくことが肝要です。関係者には事前に根回しして、ある程度の結論に導いておくことも家族会議を成功させるうえでは重要です。 家族会議の参加者として、子どもたちの配偶者が加わるケースもありますが、できれば相続人だけに絞るのがよいでしょう。相続人でありながら参加できない人には、委任状や持ち回り議決を得ておくことも必要です。
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