四国遍路とサンティアゴ巡礼の道、両方に挑戦する旅人が増加している理由
四国遍路とサンティアゴ巡礼の道、この遠く離れた二つの巡礼路にひかれて、両方を歩く人が増えているという。この両方の魅力を紹介する「四国遍路とサンティアゴ巡礼の道」展が、東京都内の在日スペイン大使館展示室で27日まで開かれている。主催は同大使館と在高松スペイン国名誉領事館、共催は「四国遍路とサンティアゴ巡礼の道」展実行委員会。 スペイン北西部、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指すサンティアゴ巡礼は、聖ヤコブの棺が発見された9世紀以降、欧州各地から多くの敬虔なキリスト教徒が歩いてきた。会場には、毎年のように巡礼路を歩き、これまで歩いた距離が1万5000㌔以上だという問屋正勝さんの撮影した写真が展示されていた。巡礼路の美しい風景や、スペイン北西部ガリシア地方のレストランでタコを料理する場面など観光の魅力も紹介している。
四国遍路の展示としては、切り絵作家の萩原幹夫さんが制作した1番札所霊山寺(徳島県)をはじめとする札所の風景を描いた切り絵の数々。そして、「お砂踏み」。 日本の四国には、平安時代に真言密教を伝えた空海(弘法大師)への尊敬と畏怖から、その足跡である88か所の札所を巡り、四国を周回する修行の道、四国遍路がある。特に17世紀以降の江戸時代からは老若男女を問わず、多くの人々が歩いている。 昔は今のように交通の便も発達しておらず、遍路の旅を願いながらもかなえることのできない人も多く、約400年前に考えられたのが「お砂踏み」。各霊場のご本尊様の写し仏を祀り、持ち帰った八十八か所霊場のお砂を踏みながら礼拝することで、同じ功徳をいただけると考えられてきた。 21日には、四国遍路を舞台にした映画「ぐるり1200km、はじまりの旅」(香西志帆監督)が上映された。主人公は、存続の危機が迫っている月刊旅行雑誌の女性編集者。主人公のもとに15年前亡くなった母からの手紙が届く。それは、四国八十八箇所を回った母からの手紙だった。そんな時、雑誌の50周年記念号にコラムを掲載するはずの作家・山本一成が失踪。その穴を埋めるため、そして母の思いを知るため、主人公は四国の香川県に旅立つ。 この日は、東京では初の上映だったという。四国遍路を歩く様々な人々の思いや、温かくもてなす地元の人々を描いた感動的なストーリーだけに、今後も東京はじめ各地での上映が望まれる作品だ。