四国遍路とサンティアゴ巡礼の道、両方に挑戦する旅人が増加している理由
展示会場には、夫婦で四国遍路を歩きはじめて11年という、高松市在住の岩間隆資さん、由貴子さん夫妻が、サンティアゴ巡礼路で撮影した写真も展示されていた。夫妻は四国への転勤がきっかけで、札所巡りや遍路道での出会いに感動してやみつきになったという。そして結婚30周年を迎えた昨年、サンティアゴ巡礼に挑戦した。 このように、サンティアゴ巡礼におもむく日本人は昔に比べると増えている。また、四国遍路を歩く欧州の人々も増加しているが、その中にはサンティアゴ巡礼をすでに経験済みという人が多い。 四国遍路の外国人比率が増え始めたのはここ20年ほど。約1200キロを踏破し結願(けちがん)した歩き遍路に「遍路大使任命書」を発行しているNPO法人「遍路とおもてなしのネットワーク」によると、06年度に総数2796人のうち外国人は33人で1.2%だった。それが15年度には2554人中221人で8.7%を占めた。コロナ禍を経てまた、四国遍路には外国人が戻って来ているという。 あるフランス人女性は13年に約50日かけて八十八の札所を踏破した。彼女はサンティアゴ巡礼路で日本人巡礼者から四国遍路について教えられて来日した。この女性は15年には著書を母国で出版し、翌16年には邦訳版「フランスからお遍路にきました。」が出版されている。 地理的に遠く離れた二つの巡礼路を歩く人たちの間で、情報交換がなされ、両方を歩く人々が出てきたようだ、そして、両方を歩く人たちが増えているということらしい。彼らが両方を歩いている理由をさらに詳しく知るためには、実際に両方を歩いて、巡礼をしている人たちに聞いてみるしかないのかもしれない。