これぞ王者の行軍。ノルベルト・キスが週末2勝を挙げ、早くも自身6度目の王座を確定/ETRC第6戦ル・マン
年間全7戦のシーズンも天王山を迎え、フランスはル・マンのブガッティ・サーキットで第6戦を開催した2024年のETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップは、いつものとおり王者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/マン)が、昨季から継続する“年間予選全セッション制覇”の記録を堅持し、土日双方のオープニングヒートも制覇して自身6回目のチャンピオンを確定させた。 【写真】6度目のシリーズチャンピオンを獲得したノルベルト・キス 走行セッション前まで降り注いでいた雨も上がり、風はあるものの上空は晴れというコンディションで迎えた週末最初の予選では、サーキットの長さもありQ3は1周が限界の“一発勝負”と化すなか、すべての車両がトラックリミットを超えることなくラップを完了。シリーズ6冠の“帝王”ことヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)がいつものように抵抗を試みるも、最後の0.3秒が届かずキスが最初のポールポジションを奪った。 これでリズムを得たチャンピオンは、スタート直後のダンロップ・ブリッジ下で“スイッチバック・ムーブ”を狙ったハーンも封じ込め、そこからひとり旅を敢行。タイトル獲得に王手を掛けるトップチェッカーをくぐった。 続くレース2では、前回の第5戦モストで自身初の総合優勝を果たしている、クローム登録のホセ-エドゥアルド・ロドリゲス(レボコノート・レーシング・トラック・チーム/マン)が、クラス王者に向け邁進するレースを披露。同じくクローム登録でリバースポール発進だったルーカス・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)をターン4までの攻防で鮮やかに抜き去ると、総合優勝とクラス優勝の双方を勝ち獲ることに。 アンドレ・クルシム(ドントタッチ・レーシング/イベコ)が2位に続き、さらに背後でキスの試みを阻止する素晴らしい仕事をしたシュテフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック/イベコ)が、最後の表彰台を確保してみせた。 ■前例のない勝ちっぷりを「誇りに思う」 明けた日曜午前の予選も、チャンピオンシップの主役2名がタイトルを獲得するために必要なことをすべてを敢行。Q1~Q3セッションのすべてで首位に立ったキスが、レース3で2024年のタイトルを獲得するのに最適な位置につける。 そのまま圧倒的な走りで今シーズン17勝目を挙げた真紅のマンが、11周で5.5秒のリードを築き、今季のチャンピオンを確定させた。 「チームは本当によくやってくれた。シーズンの初めからとても強かったんだ、それは知っているだろう?」と自身6度目のタイトル獲得の感慨に浸るキス。 「シーズンの初めに11連勝を飾るなんて、本当に前例のないことだ。自分たちのパフォーマンスを本当に誇りに思っている」 そして最終ヒートではふたたび“帝王の息子”と並んでスタートを切ったロドリゲスが「レースを完走するだけでクラスタイトル確定」という条件のなか、オープニングラップから果敢に首位争いを繰り広げる。 しかしルーカスに集中しすぎた結果、後続に“ドアを開ける”結果となり、これを見逃さなかったハルムが一閃。ルーカスが新たな勝者となり、2位にハルム、3位サッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)のポディウムに。ロドリゲスはアントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/マン)にも抜かれてチェッカーフラッグで6位に終わったが、クロームタイトルを獲得するに充分だった。 「気分はいいよ。今シーズンはたくさん仕事をした気がする」と満足げなロドリゲス。「これは僕にとっても、チームにとっても、家族にとっても、本当にいいプレゼントだね」 これで両部門のタイトルが早々に決したFIA ETRCの2024年シーズンは、続く10月5日~6日にスペイン・ハラマで最終戦を迎える。 [オートスポーツweb 2024年10月04日]