ロータス、エミーラにハイブリッド追加か 「絶対ないとは…」EV計画鈍化
不透明化した将来
ロータスはスポーツカーの「エミーラ」を電動化し、現行世代の販売期間を延長する可能性がある。ラインナップのハイブリッド化を進め、次世代EVスポーツカーの導入は先延ばしにされている。 【写真】「最後の内燃エンジン車」となるはずだった2シーター・スポーツカー【ロータス・エミーラを写真で見る】 (23枚) 同社は高級EVの販売台数の低迷に対応するため、今後数年の販売台数目標を下げ、レンジエクステンダー(REx)パワートレインを導入する計画だ。 これは2028年までに完全EV化するという以前の計画を覆すものであり、今後数年のうちに登場予定であったEVスポーツカーにも疑問が投げかけられている。 ロータスは2021年に、同社最後の内燃エンジン車として、またエヴォーラの実質的な後継車としてエミーラを発表した。 エミーラの生産終了時期を明示したことはないが、以前の計画では、2027年に「タイプ135」と呼ばれるEVの後継車が登場し、エミーラも段階的に生産終了となる見込みであった。 しかし、ロータス欧州部門の新CEOであるダン・バルマー氏は、エミーラが電動パワートレインを搭載して存続できる可能性を示唆した。 バルマー氏はエミーラのハイブリッド化の見通しについて尋ねられると、「今の世の中では、『絶対ないとは言えない』というのがルールだ。なぜなら、市場が何を求めているのか、また、その時点で利用可能な技術は何なのかを柔軟な姿勢で理解しなければならないからだ」と語った。 「つまり、ハイブリッド・パワートレインの可能性はある。同様に、フルEVの可能性もある。ロータスが定める仕様特性に適した技術が利用可能かどうかという問題だけだ」(同氏) 現在、エミーラには、メルセデスAMGが供給する最高出力365psの2.0L 4気筒ターボガソリンエンジン、またはトヨタ由来の最高出力405psのスーパーチャージャー付きV6ガソリンエンジンが搭載されている。 メルセデスとトヨタはどちらも、これらのユニット、またはその派生型を自社のハイブリッド・パワートレインに使用している。 例えば、AMG A 35にはマイルドハイブリッド仕様の4気筒が搭載され、トヨタのV6エンジンは世界中の市場で販売されているハイブリッド車のエンジンと密接な関係がある。 もし「エミーラ・ハイブリッド」が現実のものとなれば、ロータスは性能とダイナミック特性を維持するためにエンジンに大幅な変更を加えることは間違いないが、少なくとも技術的には可能であると思われる。ただし、車両構造上の変更が必要かどうかは定かではない。 900Vの電気アーキテクチャーを使用するレンジエクステンダー「ハイパーハイブリッド」システムは、2026年に中国向けのEVモデルに導入予定だが、エメヤとエレトレで使われているEPAプラットフォームと互換性があるため、エミーラに採用される可能性は低い。 後継車となるはずだったタイプ135が事実上凍結されたため、エミーラの将来は不透明になっている。 また、ロータスは、エリーゼのようなガソリンエンジン搭載モデルのダイナミック性能をEVで実現させるためには、新しい軽量バッテリー技術の登場を待つ必要があることも明らかにしている。 バルマー氏は、「製品の特性を実現するために必要な技術を、適切なタイミングで検討しなければならない。もし今日やろうとしても、達成できるとは思えない」とした。
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)