ビットコイン、年初からの上昇分を失うも、12万ドルのコールオプションは依然として人気
新年は、ビットコインが10万ドルへ向けて動き出し、12月の低迷を払拭する幸先の良いスタートを切った。しかしお祝い気分の中、CoinDeskでは楽観的になりすぎないよう警告を発し、売り手が再び存在感を示そうとしていることを指摘した。 それから1週間、ビットコインは10万ドル超えの値上がりを維持できず、1月6日には9万3000ドルまで引き戻している。 今回の低迷は、米国債市場でのボラティリティの高まりと時を同じくしている。長期債利回りは2024年第4四半期の上昇幅を拡大し、米国の頑固なインフレを示唆する経済データを受けて数カ月ぶりの高水準に達している。 名目利回りだけでなく、インフレ調整後の実質利回りも上昇している。チャートプラットフォームTradingViewによると、米国のインフレ連動債10年物の利回りは2.29%に急上昇し、2023年11月以来の高水準となっている。 確定利付商品の利回りが実質ベースでより魅力的に見え始めると、リスク資産への投資意欲は減退する。利回りの上昇が経済成長ではなく、タカ派的な米連邦準備制度理事会(FRB)という見通しによって引き起こされる場合はなおさらである。 まさに今週の展開がそうなっている。粘着質なインフレを示すデータから、トレーダーは次回のFRB利下げ時期の見込みを6月に延期した。 「今朝のビットコインスポット価格の下落は、国債市場における利回りの上昇と、今年の追加利下げの可能性の低下に反応したものと思われる。これは、より流動的な状況で一段と好調となる傾向がある暗号資産(仮想通貨)の短期的な市場見通しに影響を与えている」と、デジタル資産のベンチマークを手がけるCF Benchmarksのプロダクト責任者であるトーマス・エルドシ(Thomas Erdosi)氏は語った。 利回りの急上昇が起こっているのは米国だけではない。利回りは主要国全体で急上昇しており、日本や英国も例外ではない。 英国では、1998年以来最高の長期国債利回りを記録している。 これらすべてが株式に影響を及ぼしており、ビットコインと同じようなことが起きている。ナスダックやS&P500のような主要指数も、新年の上昇分を失ったのだ。 しかし、意外な展開も見られる。デリビット(Deribit)に上場されているビットコインのオプションは、マクロ的な不確定要素にもかかわらず、楽観的な動きを続けているのだ。データソースのAmberdataによると、当記事執筆時点で、アクティブなコールのドル建ての価値は148億7000万ドル(約2兆3500億円、1ドル=158円換算)で、アクティブなプットの2倍近い。 コールの買い手は暗に市場に強気であり、プットの買い手は弱気である。 さらに、権利行使価格12万ドルのコールオプションは依然として最も人気が高く、想定建玉は14億7000万ドルに達している。権利行使価格10万1000ドルと11万ドルのコールもそれぞれ、10億ドル超の建玉を誇る。一方、最も人気のある7万5000ドルのプットオプションの建玉は5億9500万ドルとなっている。 全体として、1月以降に満期を迎えるコールはプットに対して顕著なプレミアムで取引され ており、強気バイアスを反映している。 「今月末までには市場の流れが変わる可能性がある。1月20日にトランプ大統領が就任し、暗号資産にとってより有利な規制環境が整う可能性が高まることが、暗号資産市場のセンチメントを左右する重要な原動力となる可能性がある」 とエルドシ氏は付け加えた。 |翻訳・編集:山口晶子|画像:Mehaniq / Shutterstock.com|原文:Bitcoin Gives Up Gains Post New Year-Spiral, But $120K Bets Still Remain Hot
CoinDesk Japan 編集部